ブラジル日本都道府県人会連合会とブラジル日本語センターが共催する、『第37回サンパウロ・スピーチコンテスト』『第10回弁論大会』が25日午後、サンパウロ市の栃木県人会館で行なわれた。独学で日語学習をしてきた初出場の新崎ローザ百合さん(24、三世)が弁論の部で見事勝利した。考えさせる内容を盛り込み、日語校の生徒を押しのけて優勝を果たした。
スピーチBクラスから始まり、山下ファビオさんが1位に輝いた。250キロを走破する砂漠ランナーをテーマに「過酷な状況に立ち向かう姿に感動」と語り、マラソンに出場した体験談を交え、「年末のサンシルベストレ15キロの部に出る」と宣言して約150人の聴衆を沸かせた。
スピーチAでは「小さな幸せ」をテーマにしたピラール・ド・スール日語校の島崎さゆりさん(16、三世)が1位に輝いた。「たくさん練習した。まさか優勝できるとは」と驚いた様子。フロリアノーポリス往復券を手に笑顔を見せた。
11人が出場した弁論大会を制したのは、初出場の新崎ローザ百合さん(24、三世)。栃木県宇都宮に生まれ、6歳まで日本で過ごした。帰伯後も「日本が好きだから」という理由から、サンパウロ市ビラ・カロンで日語教師を務める母を通じて教材を借り、独学で学習を続けた。
母に勧められて初出場。「期限ギリギリで申し込んだ。自分試しに出ようと思った」がまさかの優勝。「信じられない。奇跡。大学の試験勉強も重なったし、不安で昨日の夜もしっかり眠れなかった」と興奮さめやらぬ様子で話し、応援に駆けつけた母と喜びを分かち合った。
志村マルガレッチ審査委員長は、「聞き手に何かを考えさせる内容を評価した。弁論大会は問題提起が大切。個々の技術の差はわずかだった」と語る。
新崎さんは、ノーベル平和賞を獲得したマララ・ユスフザイさんの演説「ペンと本で世界は変わる」を引き合いに出し、「そんな言葉に強く共感。次世代のために私も手本になりたい。よりよい社会になるために努力したい」と発表。共通テーマ「志―社会に対して何ができるか」に沿った内容が勝因となった。
上位入賞者は以下の通り(1位から降順、敬称略)。【スピーチB】山下ファビオ、大貫隼 【スピーチA】島崎さゆり、名久井はると、森美幸 【弁論】新崎ローザ百合、岡本千秋メリッサ、野田博智エルトン、丸屋せいぞう
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非日系の活躍もあった過去のスピコン&弁論大会。今年はスピーチBに出た、ラリッサ・フェルナンダさん(16)=サンジョゼー・ド・リオ・プレット在住=が唯一の非日系だった。4年前から勉強に励み、現在は日本人牧師による個人教室に通う。趣味の語学学習とアニメ好きが高じて、日本語にも関心を持つようになったという。本番は「地元よりも寒くて、あまり上手くいかなかった」と笑いつつ初出場に喜び。上位入賞はならず、今年は日系が躍進した大会になった。