サンパウロ州内陸部ジャルジノーポリス市にある刑務所で9月29日、囚人の集団脱走が発生し、295人が再逮捕される事件が起こったと9月30日付現地紙が報じた。
脱走は、刑務所内の建物の一つに囚人たちが火をつけたことが発端となって発生した。同刑務所の許容収容人員数は1080人だが、昼間の外出が認められている服役者が1861人収容されていた。囚人の家族達は、刑務所内の超過人員による劣悪な環境が暴動につながったとしている。
脱走発生当初、脱走犯は200人程度とみられていたが、その後、軍警は脱走犯は500人を超えると発表した。
囚人達は高さ4メートルの塀を倒し、周辺のサトウキビ畑や森に逃げ込んだ他、ジャルジノーポリス市とリベイロン・プレット市の境を流れるパルド川に逃げ込んだ囚人も4人いた。同河川で漁を営んでいた漁師が川に逃げ込んだ囚人が1人溺れたと証言している。
火は刑務所内の家具製造所から上がり、燃え拡がった。サトウキビ畑でも火事が発生し、騒動後に囚人の1人が焼死体で発見されたが、身元は発表されていない。
逃走しなかった囚人は面会に来ていた家族に遠巻きに見守られながら、「投降」「服従」を示す白旗の代わりに白いシーツを格子に掲げた。
囚人と軍警の間に銃撃戦も起きたが、サンパウロ州刑務所管理局(SAP)には怪我人の発生や、囚人が人質を取ったとの報告は届いていない。SAPによると、脱走当日中に295人が再逮捕された。軍警による脱走犯の捜索は9月30日も続けられ、午後3時半過ぎに、再逮捕者は335人で、全員を昼間の外出が認められない刑務所に移送すると発表された。
SAPは、暴動発生の理由を「囚人の隠し持っていた携帯電話、薬物などを押収する目的で行われた定期監査や、家族の訪問禁止などの懲罰への不満だ」としている。