国庫財務局が9月29日、8月の税収は昨年同月比10・12%減の918億800万レアルで、8月としては09年以降、最悪の結果となったと発表した。これにより、中央政府(国庫財務局と中央銀行、社会保障院)の基礎的財政収支の赤字も、過去20年間で最大の203億4500万レアルとなったと同30日付現地紙が報じた。
8月の税収が昨年を大幅に下回ったのは、景気後退が長期化している事に加え、過払い分の相殺などの税額控除が急増したためだ。企業を中心とする税額控除は80%も増えており、当局は不正の有無を調べる意向だ。
一方、8月の基礎的収支が大幅な赤字となったのは、税収の落ち込みと年金や恩給の受給者への13カ月給の半分を払った事が原因だ。最大の赤字を出したのは国立社会保障院(INSS)で、その額は153億1400万レアルに達した。国庫財務局の赤字は48億7900万レアル、中央銀行の赤字は1億5190万レアルだった。
203億4500万レアルの赤字という結果は、8月としては、国庫財務局が統計を取り始めた1997年以降で最悪だ。また、1~8月の累計赤字額714億1800万レアルも、同期間としては最悪だ。
なお、直近12カ月間の累積赤字が1789億レアルに達した事で、今年の年間赤字額が、政権交代直後に連邦議会が承認した赤字額1705億レアルを超える可能性を危惧する声も出ているが、国庫財務局は9~12月の基礎的収支赤字額は978億9600万レアルと見ており、議会が承認した額以下の1693億レアルの赤字で終ると試算している。第4四半期に最大の赤字が見込まれているのも、同期間中に612億1400万レアルの赤字となると推定されているINSSだ。
基礎的収支の改善は、連邦政府が提出した、予算支出枠をインフレ率以下に制限する事などを含む財政調整案承認と、今後提出する年金受給開始年齢の見直しなどを含む社会保障改革案の承認が不可欠で、当面は赤字が継続する見込みだ。