サンパウロ州サッカー連盟(FPF)が2年前、観客動員数を増やす方法として、入場券の代わりにペットボトル2本を寄付することで観戦できる方式を採用した。
チケットが売れないため、これによる観客の増加は、必ずしも収益増加には繋がらないが、観客数が4倍に増加したクラブも出たという。
9月30日に行われた全国3部の準々決勝、ボタフォゴ・サンパウロ対ABCの試合はその一例で、入場券を購入した観客が2千人だったのに対し、2万5千人がペットボトルを持参して試合を観戦した。
観客全員が正規の入場料20レアルを払えば、この試合の入場料収入は50万レアルを超えるはずだったが、FPFが、集ったペットボトルの対価としてクラブに払うのは、1人(つまりペットボトル2本)あたり5レアルのため、実際の収益は14万3千レアルだった。
ボタフォゴ・サンパウロ会長のジェルソン・エングラシア・ガルシア氏は「クラブの名前は知られるようになるし、スタジアム内の売店の売り上げも増える。何よりも観客が増えた」と肯定的で、「全国2部に昇格できれば、テレビとの契約も可能になり、経済的にももっとゆとりが出来るからね」という。
ボタフォゴ・サンパウロは昨年も、全国3部昇格のかかった、4部の準々決勝、サンカエタノ戦でペットボトルによる入場を認め、2万人以上がペットボトルを持参して試合を観戦するという記録を打ちたてている。その試合の観客動員数は2万4476人で、入場券の売り上げは14万2310レアル。クラブ側は5万レアル強の収益を得た。
その後、4部の決勝では、9652人が入場券を購入して試合を観戦したため、売り上げは16万6610レアルで、当初見込んでいた収益を4万2千レアル上回る9万2千の収益を得た。
3部に昇格した今年は、観客数の平均は3800人。最も多かったのはグアラニ戦の6998人だった。ペットボトルでの入場を認める方式を再び採用した9月30日は、8万本を超えるペットボトルが集まり、地域にある再生資源回収業者に売却された。再生資源回収業者によると、通常ならこれだけの数のペットボトルを集めるのには10カ月かかるという。
ボタフォゴ・サンパウロの本拠地があるリベイロン・プレット市の人口は67万人だから、より小さな自治体なら、入場料代わりのペットボトルの持つ意味はより大きい。
人口約7万人のリンス市にあり、サンパウロ州1部に所属するリネンセは、観客数の減少に悩まされていた。ペットボトルによる入場プロジェクトを採用した事で、収益には大きな変化はないものの、観客が戻り始めた事でスタジアムが活気付いたという。
FPFがペットボトルによる入場を採用して以来、ペットボトルでの入場は認められた試合は248回開催され、90万人がペットボトルを持参。実に200万本のペットボトルがこの方式で回収され、再生資源として利用されるに至った。(1日付フォーリャ紙より)