2日に全国で市長・市議選が行われた。ブラジル最大都市のサンパウロ市では、民主社会党(PSDB)の新人候補、ジョアン・ドリア氏(58)が現職のフェルナンド・ハダジ市長(労働者党・PT)らを寄せ付けず、53・3%と過半数以上の得票数を獲得。決選投票を待たずに当選を決めた。サンパウロ市長選でのここまでの圧勝は、民政復帰以降では初めてのことだ。3日付伯字紙が報じている。
テレビ司会者出身で、自身のビジネス・マーケティング企業「ドリア・グループ」の成功でブラジル有数の富豪でもあるドリア氏は、PSDBの市長候補選出で他党より出遅れたため、テレビでの選挙放送開始前の支持率は5%程度で、「5番手」と見られていた。
だが、PSDB党内の候補選出のときから熱烈に支援していたジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事が後ろ盾になり、連立支持を13党まで膨らませたことで、ドリア氏の選挙放送の時間は他候補を圧倒する長さとなった。
この利点を生かし、保健・医療の充実や交通の充実、パカエンブー・スタジアムなどの公共施設の積極的民営化などの具体案を次々と訴えたドリア氏は、9月以降、週ごとに支持率を5%ポイント以上上積みさせ、投票の2週間前にはセウソ・ルッソマノ氏(ブラジル共和党・PRB)を抜いてトップとなった。
それでも大方が「勝敗は決戦投票で決まる」と見ていたが、直前のダッタフォーリャ調査では支持率が44%まで急騰。ハダジ氏、ルッソマノ氏、マルタ・スプリシー氏(民主運動党・PMDB)が2位狙いで相手を批判する戦略に転じているあいだに、決選投票を不要とする過半数超えに至った。
現職のハダジ氏は、世論調査で長らく4位と低迷するも、終盤はルーラ元大統領の積極支援もあり2位(16・7%)まで上げたがドリア氏の3分の1にも満たなかった。3位はルッソマノ氏(13・6%)、4位はマルタ氏(10・1%)だった。
サンパウロ市市長選は統一市長選の中でも最大規模で、有力候補が多数集まるため、通常は決選投票までもつれる。選挙で市長が選ばれるシステムに戻った1985年以降、1位候補がこれほどの支持率を得たのは初めてで、92年に決選投票制が導入されて以降、一次投票だけでサンパウロ市市長選の当選者が決まったのも初めてのことだ。
また、今回のサンパウロ市市長選でドリア氏が圧勝したことは、18年大統領選出馬を狙うアウキミン氏にとってはひとつの大きな足がかりとなった。ドリア氏も祝勝会で、アウキミン氏を支援することを公言した。
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