サッカー選手のみならず、政治家にも芸名が認められる。これもブラジルの他とは少し違う文化の特徴だ。それはブラジルの場合、家族姓の名前のパターンが比較的少なく、長いミドルネームを使ったりもするため、どこをとってその人の名を呼べば良いのかわからなくなる時があるからだ。
だが、そうした文化ゆえ、ユニークでわかりやすいニックネーム文化も出来て来る。サッカー選手のペレやカカー、政治家ではルーラ元大統領などが代表例だ。
そんな特性を活かし、4年に1度の統一地方選では、多少悪ノリのケースも含め、珍名、芸名の候補者が乱立する傾向が強い。それは今回の地方選でも同様だった。
ジョーク系サイトの「ファトス・デスコニェシードス」が9月5日に掲載した市会議員候補者の中の珍名20傑で並んだのは、本当に市会議員になりたいのかどうかは不明だが、「とにかく目立ちたい」「せめて名前は覚えて欲しい」候補者たちばかりだ。
そこにある名前は「ポケモン」「コスプレ」「ネイマール」といった、あえて説明の不要なもの、ポップコーンを意味する「ピポカ」「ピポキーニャ」、あるいはインパクト狙いで、「シェガ・プラ・カー(ここに(戻って)来い)」、「ポデローザ(パワーがある)」、「ニンゲン(何者でもない)」「メンチラ(嘘つき)」といった、自分なりのメッセージを伝えたそうな人もいる。
一番見受けられる珍名や芸名は、映画スターの名前や劇中の役名だ。代表例は「スタローン」「クリチーバのヴィン・ディーゼル」などで、登録された写真を見ると、心なしか顔も似ている。さらに「スター・ウォーズ」の悪役のダース・ヴェーダーをもじった「ダース・ヴェルジ(緑)」、大ヒットドラマ「ブレイキング・バッド」の主役ウォルター・ホワイトをもじった「ヴァルテル・ブランコ(白の意味)」など、ポルトガル語を利用したシャレの利いた名前も存在する。
別の情報源によると、落選した候補の中には、少なくとも「バットマン」が4人、「スーパーマン」が2人、「オーメン・ド・フェーロ(アイアンマン)」が2人おり、スーパーヒーローが必ずしも当選するわけではないことが判明。スーパーヒーローの中で最もポピュラーなのは「バットマン」で、出馬を拒否された候補の中にも同名の人物が3人いた。「カヴァレイロス・ダス・トレヴァス(ダークナイト)」も、全国の選挙裁判所に4人登録されている。(9月5日付ファトス・デスコニェシードス、10月4日付アゴーラ紙より)