ホーム | ビジネスニュース | 《ブラジル》テメル大統領=アルゼンチン・パラグアイを訪問=メルコスル連携強化を確認=国内の統一地方選の結果にも言及

《ブラジル》テメル大統領=アルゼンチン・パラグアイを訪問=メルコスル連携強化を確認=国内の統一地方選の結果にも言及

マウリシオ・マクリアルゼンチン大統領(右)と握手するテメル大統領(左)(Beto Barata/PR)

マウリシオ・マクリアルゼンチン大統領(右)と握手するテメル大統領(左)(Beto Barata/PR)

 大統領就任後初めて隣国のアルゼンチン、パラグアイを訪問中のミシェル・テメル大統領は3日、アルゼンチンのブエノスアイレスでマウリシオ・マクリ大統領と会談し、他の経済域との自由貿易交渉を進めるため、南米共同市場(メルコスル)の一層の連係強化を図る事を確認したと3、4日付現地紙・サイトが報じた。
 メルコスルは参加諸国が域外の国や他の経済域との自由貿易交渉を行う事を禁じているが、両大統領は、北米やアジア、欧州連合(EU)諸国と個別の貿易協定を結ぶことが出来るよう、内規をより柔軟にする必要がある事も確認した。
 両大統領の会談は経済政策に絞られたが、会談後の会見では、ベネズエラ危機や先日の国民投票でゲリラ組織との和平締結が否決されたコロンビアに関する質問も出た。
 ベネズエラ問題は会談では触れられなかったが、両大統領は、9月のメルコスル外相会議で決めた、12月1日までに同国が民主主義条項を批准、適用しなければ同国のメルコスル参加資格を剥奪する方針を再確認した。民主主義条項批准はベネズエラのメルコスル議長国就任の条件だったが、期限の8月までに達成されず、就任が差し止められた。
 コロンビア和平に関しては両大統領共、「対話の継続が必要」と述べた。
 会談後の会見でマクリ大統領は、「世界は情報伝達、移動手段の発達で日に日に〃狭く〃なっている。より複雑化する国際問題に利害を共にして立ち向かうにはメルコスルの強化が不可欠だ」と語った。
 テメル大統領は「積年の課題であるEUとの自由貿易交渉締結など、国際社会におけるメルコスルの存在感を高めるためには結束が必要だが、加盟諸国に個別の貿易協定を結ぶ権限を与える事も重要」と語った。
 2日に行われたブラジルの統一地方選の感想を問われたテメル大統領は「棄権者や、白票、無効票が多く出た事は政治不信の表れだ」と語った。サンパウロ市長選で企業家の新人候補、ジョアン・ドリア氏が決選投票を待たずに当選した事については、「彼が選挙期間中、『私は政治屋ではない。企業家で経営者だ。経営者の視点でサンパウロ市政を立て直す』と訴えてきた事が、既存の政治家に飽き飽きしていた有権者には新鮮に感じられたのではないか」と語った。
 テメル大統領は3日の内にパラグアイに渡り、オラシオ・コルテス大統領とも面会した。今回の両国訪問はジウマ前大統領の罷免が成立した際、アルゼンチン、パラグアイ両国がいち早く新政権支持を打ち出した事への返礼とされている。