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《ブラジル》公費歳出の上限案まとまる=医療、教育部門の優遇を提案=罰則内容も厳しく規定

上限案を推進するダルシジオ・ペロンジ下議(Luis Macedo/Camara dos Deputados)

上限案を推進するダルシジオ・ペロンジ下議(Luis Macedo/Camara dos Deputados)

 公費歳出上限を定めた憲法改正案(PEC)の最終報告書が4日、下院の特別委員会で発表されたと4、5日付現地紙・サイトが報じた。
 報告官のダルシジオ・ペロンジ下議(民主運動党・PMDB)が提出した報告書には、17年の医療関係費の歳出限度は17年の政府純歳入(以下、歳入)の15%とすること、歳入の30%までは政府が自由に使い道を決められる経費自由枠(DRU)を現行の2023年までから、PEC失効と同時期の2036年までとすること、歳出上限を超えた場合の罰則規定などが書かれている。
 政府の歳出は公式のインフレ率(IPCA)を上限とするという原則を超えた場合、連邦政府は、公務員の給与など、8項目の調整が禁じられる。この場合、最低賃金も実質的な増額がないまま、インフレ分の上昇のみで据え置かれる可能性が出てくる。
 同案は6日に下院の特別委員会で投票にかけられ、承認されると、来週早々に下院本会議での採決にかけられる。
 連邦政府はPEC反対派との折衝の中で、医療と教育部門での譲歩を迫られた。これにより、17年の医療部門の歳出上限は、16年歳入額の13・5%ではなく、17年の歳入の15%となった。そのため、医療関係費の歳出上限額は推定850~960億レアルから1120億レアルに増えた。
 17年度の教育部門の歳出上限は17年の歳入の18%と定められた。2018年以降の両部門の歳出上限は、他部門同様、前年度の歳入をベースとし、IPCAを上限として調整するという原則が適用される。
 報告書にはまた、憲法改定から3年間は、司法や立法部門の歳出が上限を超えた際は、行政部門が自分達の歳出を上限の0・25%まで削ることが出来るとしている。
 PECは20年間限定の憲法改正案だ。歳出上限はインフレ率に則って調整が行われるのみで、効力失効後の歳出抑制の方法は時の政権が決定することも、報告書には書かれている。
 また、テメル大統領(PMDB)は、5日に大統領府で「連立与党の議員諸氏には週明けの月曜(10日)に必ず本会議に出席いただき、PECを承認させて欲しい。これはブラジルを救うための〃努力〃だ」と演説し、PECの下院承認を急ぐよう、連立与党に激を飛ばした。