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《ブラジル》一斉学力テスト=上位は私立の小規模校が独占=国語、数学等の成績悪化

メンドンサ・フィリョ教育相(Elza Fiuza/Agencia Brasil)

メンドンサ・フィリョ教育相(Elza Fiuza/Agencia Brasil)

 メンドンサ・フィリョ教育相(民主党・DEM)は4日、15年にブラジル全土で行われた国家高等教育試験(Enem)の学校別の結果を発表したと5日付現地紙が報じた。
 サンパウロ州の私立校が上位100校の内、30校(14年度は29校)を占めた。また上位100校の内97校が私立で、生徒数90人以下の小規模校だった。トップ100入りした3校の公立校は連邦大学の付属校だった。
 平均点が751・29点と全国トップの成績を出したのはサンパウロ市中央にある有名私立進学校コレジオ・オビジェチーボ・インテグラドだった。
 在籍生徒数90人以上の大規模校の中では、ミナス州都ベロ・オリゾンテ市のコレジオ・ベルノウッリが725・27点でトップだった。
 15年は、ブラジル北東部の学校が上位10位までに多く入った。14年はセアラー州から3校のみだったのが、15年は同州から4校とピアウィ州から1校が入った。
 「全ての子供達に平等な教育機会を」を目的とするNGO「全てを教育のため」のプリシラ・クルス会長は、「上位は全て私立校。そこに通う子供は富裕層で、家には本もたくさんあり、学校の外でも学ぶ機会は多い。そういう家庭の親は、まるで会員制のクラブのように、子供には同じような環境の子供と触れ合わせたいと、高額な私立校に入れたがる傾向がある」と語り、ランキングはその学校の教育レベルを正確に反映したものではないとした。
 15年のEnemの全国平均結果は、前年と比べて数学、国語、自然科学の成績が下がり、逆に人文科学、作文が良くなった。
 数学の下降傾向は深刻で、11年度から15年度までブラジル全州で成績が下降した。最も大きく下がったのがリオ州(63点ダウン)で、リオ・グランデ・ド・スル州、サンタカタリナ州、連邦区、ミナス州でもそれぞれ、61点、57点、52点、52点下がった。