【静岡県発=秋山郁美通信員】増加・多様化する「日本語支援が必要な児童生徒」に対応しきれない日本の教育現場――静岡県は、来日したばかりの児童・生徒に初期の日本語を指導する支援員を養成する「外国人子ども支援員養成講座」を7月から9月まで4回にわたって県内3会場で行った。講座を修了した受講生は県国際交流協会の人材バンクに登録され、県内各市町からの要請があれば紹介される。地域の活力を取り入れようと、試行錯誤する自治体の姿を追った。
文化庁の調査によると、日本国内の国公私立学校に在籍する外国人は、近年約8万人で推移しているが、公立学校で日本語指導を必要としている人数は2012年から14年にかけて約2千人増と、増加傾向にある。
また注目すべきは、「外国籍児童生徒」には当てはまらない、日本国籍の子どもたちでも日本語支援を必要としている子が急増していることだ。
日本語支援が必要な日本国籍児童生徒の使用頻度の高い言語は、フィリピン語、日本語、中国語、英語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語など多岐に渡る。
多言語化の理由としては、リーマンショックによる経済危機や震災以降、日系ブラジル人・ペルー人に代わりアジア各国から働き手が来日したこと、海外で育った日本人の親を持つ子供の呼び寄せ、親の海外駐在帯同からの帰国、国際結婚の増加などが考えられる。
さらには、日本語指導が必要な児童生徒が在籍する学校の約4割は、そうした児童または生徒が一人しかいないという状況で、散在化が進んでいることがわかる。
支援が必要な子どもたちは、言語や環境などさまざまな面で多様化しているのだ。
この傾向は静岡県内でも見られ、公立学校や支援現場からは、県に補助やアドバイスを求める多数の声が上がっていた。
また、国が助成金を拠出した、在住外国人の子供の就学支援事業「虹の架け橋教室」も終了し、外国人集住地域にはさらに大きな負担がかかるようになり、支援の継続すらままならないほどになっている。
支援員は、障害児などの特別支援学習指導員や外国人児童への日本語指導に限らず、低学年の教室や家庭科のミシンの授業等で補助するなど、さまざまな場面で活躍している。支援内容によっては特に資格は求められず、各市町で職員として雇用されたり、アルバイトやボランティアとして学校へ派遣されたりしている。
静岡県地域外交課の村川未帆さんによると、県では不就学の外国人を把握・解消するよう各市町に働きかけており、その効果は徐々に出ている。だが、教育現場での負担は増え続け、支援の地域差も解消されていない。以前から施策を検討し続け、やっと「支援員講座」開設にこぎつけたという。
同講座は県、公益財団法人静岡県国際交流協会(SIR)、同県教育委員会が共催し、会場は外国人が集住する菊川市と焼津市、また外国人が散在する伊豆半島を含めた東部地域として沼津市でそれぞれ行われた。(つづく)
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