マドゥーロ政権下、政治・経済危機の続くベネズエラと国境を接するブラジル北部のロライマ州パカライマ市にベネズエラ人が押し寄せている様子を10日付現地紙が報じた。
連邦警察(PF)の調べでは、多くは入国したその日に帰国し、長く滞在しても一晩限りだ。しかし国境法を犯し、ブラジル国内に滞在を続けようとするものも出てきている。
実際、ベネズエラからブラジルへの亡命は急速に増えている。正式に承認された件に限っても、2014年は僅か9件だった亡命件数は、15年は234件、今年は9月27日の時点で959件を数えた。
国境を渡ってくるベネズエラ人は、ほぼ着の身着のままで、所持金もほとんどない。先住民族、農民、女性、小児、に留まらず、教師、商人、自営業者まで様々だ。パカライマ市で路上に寝たり、広場を占拠して住んでいる。全てはベネズエラの政治・経済危機に伴い身の危険さえ感じて逃げてきた人々だ。
マドゥーロ政権は統治能力を失ってきており、ベネズエラでは犯罪が多発している。しかし諜報組織を駆使して、正義第一党党首エンリケ・カプリレスの率いる反政府勢力、民主統一会議への締め付けを強化している。
ベネズエラからの避難民の流入はブラジル政府にとって悩みの種となっている。ブラジルは長年、人道的観点から難民受け入れに積極的な態度を示してきた。しかしながらベネズエラとの間には未だ難民受け入れに関して、いかなる正式な協定も結ばれていない。
政府間協定のないままに、現場で同件を処理しているのは連警だ。アラン・ロブソン警部は「不法侵入、不法滞在に伴うベネズエラ人の本国送還は、今年だけで400件を越えた」と語る。
正式な国境を越えてくるものは全体の半数に留まり、残りの半分は検問の置かれていないところを不法に入国していると見られている。
アカライマ市は標高が高く、まだこの時期は平均気温15度とはだ寒い。アルテミール・カンポス市長によれば、「彼らは市内の路上、どこにでも居座ってしまう。バラック小屋を建てるものまでいる。もう市は飽和状態だ」とお手上げの状況だ。