日本語支援が必要な子供たちへの対応がどのように違うのか、県東部のいくつかの市町に聞いてみた。
【沼津市】フィリピン・ブラジルにつながる子供が多い、集住学区とそうでない学区がある。
◎外国籍児童生徒へ母語支援をする場合と、それ以外の日本語支援を担当する管轄が違う。
◎フィリピノ語・英語とスペイン語で支援できる職員を市で雇用し市内の学校を巡回支援中。
◎ポ語支援は県に要請。
◎日本語での支援は市のボランティアバンクに登録している人が派遣されるが要請がそれほど多くない。
◎ボランティアの登録は市民及び隣接市町の住民が可能。
【駿東郡清水町】フィリピン・ブラジルにつながる子供が多い。
◎外国籍児童が多い小学校は加配の担当職員がいるが、母語対応はできない。
◎県からの派遣と、人づてのボランティアで支援(ボランティア登録制度や委託制度はない)
◎小さな町で外国籍児童が多く、予算の面で大変厳しい。
◎町の職員も足りず、課の中でも掛け持ちで対応。
◎緊急性が高い問題であり、今困っている子供をどうにかしなくてはと考えている。
【駿東郡長泉町】外国人が少なく、要日本語支援児童生徒は町内で二人のみ。
◎県からの補助員に月一で来てもらう。
◎町の支援員ボランティア登録制度を利用(プロではないが頻度も高く継続的なので効果が望める)。
【伊豆の国市】研修員で来日する外国人はいるが、子供は少ない。
◎これまで支援員を付けたことも、県に依頼したこともない。
◎日本語が苦手な子はいたが、自然と慣れた。
◎県に頼めることをよく知らない、難しいそうなので要請しない。
【下田市】外国籍児童生徒が少ない。
◎日本語支援に限らず、さまざまな支援に入る職員がいる。
◎今のところ緊急性・必要性を感じない。
【伊豆市】外国籍児童生徒が少ない。
◎現在一人の児童に県からの補助員を月に一回、2年半にわたって支援してもらっている。
支援をつけるかどうかの判断について、ほぼすべての市町で「担任教諭や父兄からの要望があれば対応する」との回答だったが、「子供の年齢や人数によっては様子をみるに留まる」という回答もあった。
担当者に話を聞いて感じるのは、外国籍児童生徒数が少ない市町は、「多くなければ支援は必要ない」と考える傾向があるということだ。
その子の生活や授業に支障があることは変わらないはずだが、「ひとりくらいなら担任でどうにかなる、すぐ慣れる」と判断するようだ。自然と身に付き、追いつく低年齢ならまだしも、「外国人だから遅れたり理解が浅かったりするのは仕方ない」という諦め姿勢が常態化していないだろうか。(静岡県発=秋山郁美通信員)
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