サッカーのブラジル代表がW杯南米予選で4連勝し、遂に首位に躍り出た。チッチ監督による新体制で著しい活躍を見せる19歳のセンター・フォワード、ガブリエル・ジェズスの存在がとりわけクローズ・アップされている。
8月のリオ五輪で3得点を挙げ、ブラジル初の五輪金メダル獲得に貢献したジェズスは、9月からのW杯南米予選に召集されると、すぐさま目覚しい活躍を見せた。
セレソン・デビュー戦となった9月1日の対エクアドル戦でジェズスはいきなり2得点を決めた。これはW杯南米予選での最年少記録となるゴールだった。それまでの記録は2004年にファルファン(ペルー)が作った20歳155日だったが、ジェズスは19歳191日でこれを更新した。
そればかりか、ジェズスは10月6日の対ボリビア戦、11日の対ベネズエラ戦でも得点を記録し、4試合に出場して4得点。得点ランキングでも、第7節からの参加にもかかわらず、ブラジル代表ではトップ、全体でも4位タイにつけている。
ベネズエラ戦での得点は頭脳的なプレーだった。前半7分、相手キーパー、エルナンデスがゴボールを味方にパスしようとしたところ、そのパスの甘さにジェズスが飛びつきカット。エルナンデスと1対1となった後、ループシュートを決めて先制した。
「セレソン・デビューから4試合で4得点」というのも過去に前例がない。セレソンの伝説のストライカーは、デビュー4試合での得点で華々しい成績を残しているが、かのペレ、ネイマール、ロマーリオ、ジーコでさえ3点だった。うち10代だったのはペレとネイマールの2人だけだ。ロナウドに至っては4試合で1点だった。
自らの活躍を支えているものは何か?それをジェズスはベネズエラ戦で垣間見せた。得点後、彼はカメラに向かい「もしもし、お母さん?」と電話するポーズを取った。
これには伏線があった。それはセレソンでのデビュー戦後の記者会見で、ジェズスが自身の母親がきわめてサッカーに厳しい人であることを明かして、有名になっていたからだ。
「うちの母親ときたら、僕が代表で2点決めた夜だったというのに、『あそこは決められたのに』『あのオフサイドはいただけない』って注意ばかりするんだよ」と言って取材陣を笑わせていた。
そこで友人たちから、「今度、得点を決めたら、お母さんに電話するポーズを取ってくれ」と彼は約束されていた。そのことをボリビア戦で得点した際は忘れていたが、ベネズエラ戦では覚えていて実行したものだった。
ブラジルの次の予選の相手はアルゼンチン。なお、同国の英雄、メッシが南米予選で初得点を決めたのは21歳277日だ。
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