財政改革を最優先課題として8月31日に正式発足したテメル政権は10日、公費歳出上限を定めた憲法改正案の1回目下院採決において、賛成366票対反対111票と、大差の可決を達成した。
今月中に下院を、年内には上院も通過させる意気込みの政府だが、まだ課題は山積みだ。その中の一つに、公務員削減がある。2003年以来、13年以上に及ぶPT(労働者党)政権により、公務員の総数は国、州、市、全ての単位で激増したからだ。
9日付現地紙が、ブラジル官僚機構の肥大化を、動きののろいマンモスに例え、「既得権益との戦い」と題し、現状に警鐘を鳴らす特集記事を掲載した。
ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団(FGV)発表によると、01年に580万人だった公務員総数は、14年には1・5倍以上の900万人に達した。人件費も、01年の1716億レアルから14年は3902億レアルへと2倍以上に増え、国民一人当たりの年間の公務員人件費負担は、01年の976レアルから、14年には1925レアルまで増大した。
「公務員人件費は国庫歳出の中で大きな割合を占めており、財政改革達成のためには、ここにメスを入れる事は避けられない」と語るのはネルソン・マルコーニFGV教授だ。
公務員の給与上昇率は、同期間で50%に達し、民間給与上昇率21・4%と比べて2倍以上の開きがある。経済学者マルコス・ケーラー氏は、「前のPT政権期には、労組が政権内に大きな影響力を持っていた。それにより国家公務員の給与が上がり、その影響で地方公務員の給与も上がった」と語る。
極端な例を挙げると、下院の運転手は月給1万2千レアル(38万円相当)で、上院の食堂、宴会ウエイターは1万7千レアル(54万円相当)となっている。
民間の相場からかけ離れた給与を受け取っているにも関わらず、公務員の要求は留まる所を知らない。職を失う心配はなく、現職時の給与と同額の年金受給も保証されている公務員。彼らは臆面もなく連邦議会傍聴席を埋め、既得権益を死守し一歩も引かない姿勢を見せている。
マルコーニ教授は「現実の見えていない彼らに、『国庫は困窮しており、彼らの要求は全く実情に則していない』と教える必要がある」と語った。(つづく)
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