独立行政法人国際交流基金が毎年贈呈する基金賞をブラジル日本語センターが受賞した。1973年から続く同賞は国際交流基金の設立翌年に始まり、今回で44回目。文化活動を通じ国際相互理解、国際友好親善の促進への貢献やこれからの活動が期待される個人、団体に授賞される。
同センターは85年の設立以来、日本語教師養成や独自の教材開発、国際交流などの活動を続けてきた。1千人を越える日本語教師を育成し、毎年約2万人の学習者を支援している。ペルー、ボリビア、パラグアイなどブラジル同様に日系人の学習人口が多い、南米諸国における日本語教育の中核的役割も果たしている。
センターを視察した梅田邦夫前ブラジル大使が、「日本語センターの教育事業は受賞に値する。申請をしたいので書類を作ってほしい」と依頼したことがきっかけになった。
受賞は8月24日に発表された。ブラジル国内、また日本国外の日語教育界として初の栄誉となった。立花アルマンド理事長は11日、「理事長という職に就いたばかりなのに、驚いている」と本紙に語った。
「今までの日語教師の努力が評価されたもの。ブラジル初の受賞とあって両国の架け橋がまた一つできた」と喜び、これからの日語教育へ「世界の6つの公用語、英、西、露、中、アラビア語の中に日本語、ポルトガル語を入れる手伝いをブラジルからしたい」と意気込んだ。
板垣勝秀前理事長も日語教育は二国間の繋がりであることを強調し、歴代関係者の功労を称えた。
「前身となった全伯日本語研修会、またセンターの30年間に対する賞。この受賞は当地の日語教育界全体においても非常に重要なこと」と、ブラジル国内の日語教育が認められたことに対する喜びを語った。
さらに、「日本語を学習することは日本文化や日本人の考え方を学ぶことにも繋がる。日本人は自然を愛する人種であり、学習者はその心を意識せず学ぶ。深いものの考え方を手に入れ、ブラジルの精神文化を成長させることができる」と、日語教育の役割や重要性に触れた。
授賞式は18日に日本で行われ、立花理事長はその後、20、21日にそれぞれ東京外国語大学、静岡文化芸術大学で「ブラジルにおける日本語教育―ブラジルの若者たちにとっての日本語・日本文化~過去・現在・未来」というテーマで日本語センターの事業について講演する。
なお今年度の他の受賞者には、現代美術家の蔡國強さん(中国)、日本政治を専門とするハーバード大学教授のスーザン・J・ファーさん(米国)が選ばれている。
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日本語センターの板垣勝秀前理事長は、「日本語は素晴らしい。ここに来てわかった」と熱く語った。「他国と比べ、当地の日本語学習者数は少ないが、ブラジルの日本語教育のバックボーンはなんといっても日本移民の歴史。さらに、長い歴史を持つ日本の言葉を学ぶことでしか得られない精神文化もある。それがもしなかったら日本語学習はコンピューターに任せるべきだ」とも。移民が日本語教師として言葉の本質〝ことだま〟を伝えてきたからこそ、今の当地教育界があるようだ。
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