20日より、サンパウロ市で毎年恒例の「サンパウロ国際映画祭」が開催される。
今年で第40回目を迎え、「モストラ」の名で知られる同映画祭は、1977年に、映画評論家のレオン・カッコフ氏が「ブラジル人に世界の映画のレベルを知って欲しい」との願いではじめたものだ。ヨーロッパ映画やアメリカのインディペンデント系の作品を中心に名作を紹介してきた同映画祭により、教養を深めた映画ファンもサンパウロには多い。
カッコフ氏は2011年に癌で亡くなったが、その後は未亡人であるレナタ・デ・アルメイダ氏が取り仕切って継続している。その体制も今年で5回目を迎える。
その間、「9月に開催されるリオ国際映画祭の方に、来年のオスカー候補との呼び声の高い作品を多く持って行かれている」との厳しい声もないわけでもないが、モストラでは以前より、映画史についての高い造詣を持つマニアを刺激するタイプの上映が増えている。
例えば、スウェーデンの伝説的監督、イングマル・ベルイマンの名作「ペルソナ」の公開50周年記念の上映や、先日他界したばかりのポーランドの巨匠、アンジェイ・ワイダ監督の名作上映会。同じくポーランドの巨匠、クシシュトフ・キェシロフスキー監督が1988年に制作した10話構成の名作「デカローグ」の全10話上映、「フレンチ・コネクション」「エクソシスト」で知られる70年代のアメリカン・ニュー・シネマの名監督、ウィリアム・フリードキンの特集上映など、その他にも盛りだくさんだ。
とは言え、今回は、耳の早い映画の情報通を喜ばせ、上映が楽しみな映画の公開も少なくない。
例えば、アメリカのインディ映画の祭典「サンダンス映画祭」で物議を醸した、19世紀の黒人の反乱を描いた「バース・オブ・ア・ネーション」がその一例だ。この作品は来年のオスカーへのノミネートも期待されている。
また、カンヌ映画祭からは、韓国の巨匠、パク・チャヌクの新作「お嬢さん(アガシ)」、アメリカのインディの巨匠、ジム・ジャームッシュの新作の「パターソン」、フランスの大御所女優、イザベル・ユペールの性表現で話題を呼んだ「ELLE」なども上映される。
ヴェネツィア映画祭からは、男性用スーツの世界的なファッション・デザイナーとして知られるトム・フォードが映画監督としても有能であることを証明して話題となった「ノクターナル・アニマル」が上映される。こちらはジェイク・ジレンホールやエイミー・アダムスといったハリウッドでおなじみの役者が主演だ。
モストラの開催は11月2日までの2週間となる。詳しい情報は公式サイトhttp://40.mostra.org/br/home/で確認を。
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