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クーニャ逮捕の余波は?=本人抵抗も証拠は十分=連邦政府内では緘口令も=デラソンで心配されるのは?

19日、逮捕後にクリチバに移送されるクーニャ氏(Wilson Dias/Agência Brasil)
19日、逮捕後にクリチバに移送されるクーニャ氏(Wilson Dias/Agência Brasil)

 【既報関連】19日のエドゥアルド・クーニャ前下院議長(民主運動党・PMDB)逮捕で、連邦政府内には、その余波を恐れている向きがあると、20日付現地紙が報じている。

 クーニャ氏は19日、ブラジリアからパラナ州の連邦警察に連行される際、自身の逮捕を「証拠もないのにばかげている」と語って批難した。これは最近、ルーラ元大統領が起訴された際、自身や労働者党(PT)関係者がよく口にする言葉でもある。
 これに対して、クーニャ氏の裁判を管轄するパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事は、「これまで逮捕されなかったのは議員であるが故に保護されていただけだ」と語った。同氏によると「最高裁で扱われていた時点でも、逮捕に値するだけの確たる理由があった」とし、「(捜査妨害などの)危険性のすべてが議員職にあったことと結びついていた訳ではない」から、当時も既に逮捕されていた可能性があったと指摘した。20日付エスタード紙も、「検察庁が逮捕請求時に明示した証拠」10項目をあげている。
 また、クーニャ氏の逮捕は大方が「予想されたもの」としつつも、連邦政府には驚きで迎えられた。日本を訪問中だったテメル大統領は予定を若干早め、同氏逮捕の直前に帰国の途についたが、連邦政府内には既に、この件について緘口令(かんこうれい)が敷かれている。
 連邦政府が恐れているのは、クーニャ氏が、自分が逮捕された報復として報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)に応じることで、同じPMDBのテメル大統領や同党閣僚に関する発言が飛び出すことだ。
 特に心配されているのは、官民共同投資局のモレイラ・フランコ局長だ。同局長は既に、クーニャ氏から勤続期間保障基金運用基金(FI―FGTS)の不正運用に関わっていたと言及されている。
 また、PMDBだけでなく、クーニャ氏が下院内部に作った派閥「セントロン」のマウリシオ・キンテラ運輸相(共和党・PR)もクーニャ氏がよく知る人物であるだけに今後が注目される。
 連邦政府は、クーニャ氏の逮捕により、議会で通したい重要法案が、議員たちの反乱によって却下されないかを心配している。特に財政支出の上限を求めた憲法改正法案241(PEC241)の投票は来週だ。
 また、クーニャ氏の逮捕はPTにも不利だとする声も出ている。同党はこれまで、「ジウマ大統領の罷免は下院議長だったクーニャ氏によるクーデターだ」という説を主張し、国民にも訴えていたが、これらが覆されているためだ。

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