22日に行われたサッカーの全国選手権で、サンパウロFCは本拠地モルンビ・スタジアムでのポンテ・プレッタとの一戦を、19歳の新人ダヴィド・ネレスの初ゴールなどで2―0で制したが、これに「遅すぎる」との声が上がっている。
それはネレスが、サンパウロFCのユース・チームの中において早くから頭角を現し、「次代のエース」と見なされていたのに、なかなか出場の機会が与えられなかったためだ。
ネレスは97年3月生まれで、セレソンでセンター・フォワードのポジションを確保しているガブリエル・ジェズスとほぼ同じ年齢だ。
さらには、この世代のサンパウロ州には大型ストライカーが揃っている。ジェズス同様にリオ五輪でレギュラーとして活躍し、この9月に大型契約でイタリアの名門インテル・ミランに移籍した、〃ガビ・ゴール〃こと、カブリエル・バルボーザは96年8月生まれ。昨年、コリンチャンスで1年間フォワードのレギュラーをつとめ、今年は移籍先のフランスのボルドーでレギュラーの座をつかみ、同国のリーグで既に3点を決めているマルコンも、97年2月生まれだ。
これまでサンパウロFCはユース世代の育成に定評があったが、ここ数年は折角の素材がトップチームで活かされていなかった。未知数の若手より、実績のあるガンソやパト、アラン・カルデッキやミシェル・バストスといった選手に頼る傾向があったためだ。
そのため、ユース上がりの若い有望株が試合に出場する機会が奪われることになった。その顕著な例は、2015年のU20ワールドカップでブラジル代表の司令塔を務めたボッシリア(96年生まれ)だ。サンパウロの中でも将来を特に有望視されていた彼は、ガンソやバストスの陰に隠れて出場が限られ、昨年のシーズン途中でフランスの名門ASモナコに移籍した。すると、今季は既に準レギュラー・クラスでほぼ試合に出場。その間にガンソがスペインのセヴィージャに移籍するという、タイミングの悪さだった。
現状、サンパウロでスター選手と呼べるのは、五輪代表で金メダルを獲得し、セレソンにも召集されているセンターバックのロドリゴ・カイオだけになってしまっている。更に、この2年間、現メキシコ代表監督のオソーリオ氏や現アルゼンチン代表監督のバウザ氏など、定評のある外国人監督を2人も高額の契約金で迎えたが、二人共、早期に退団したために戦略もあやふやとなり、今季の全国選手権は降格の危機に瀕している。
現在、サンパウロの指揮を取り始めて間もないリカルド・ゴメス監督は、早くも欧州強豪からの移籍ファーのあるネレスに対し、契約金欲しさに移籍させるのではなく、サンパウロの中心として育てたいとの意向を語っている。
現在、全国選手権は、ユースから育ててきたガブリエル・ジェズスをエースとしたパルメイラスが、3年前の2部降格を糧として、22年ぶりの全国制覇に近づきつつある。毎年優勝候補のサンパウロとしては来季、ネレスを中心に、基本にかえって建て直しをはかりたいところだ。
タグ:サッカー ブラジル代表 パルメイラス コリンチャンス リオ五輪 アルゼンチン サンパウロFC サンパウロ