サンパウロ市中央部ルス区ジュリオ・プレステス駅周辺に拡がり、麻薬や違反薬物常用者がたむろして密売や服用を行っている〃クラコランジア〃で、麻薬のヘロインが流通し始めたと24日付現地紙が報じた。
サンパウロ州市警は、西アフリカから同地区にヘロインを持ち込み、流通させている、ナイジェリア人とタンザニア人のグループを捜査している。
ヘロインは粉状で、少量ずつが、同地域で主に流通している〃クラック〃(コカインの一種)の5倍の50レアルで取引されている。ヘロインはクラック同様、小さなパイプに詰めて火をつけ、煙を吸引する。この方法だと注射で摂取するより薬効が弱いが、薬物効果はクラックより強く、長時間続くため、過剰摂取となったり、中毒に陥る危険性が強い。
主な利用者はブラジル人ではなく、サンパウロ市に住むナイジェリア人、タンザニア人だ。
現地で活動している保健部門の職員は、「ヘロインの取引は夜、行われている。市外からもヘロインを買いに人が来ているようだ」と語る。
取材班はクラコランジアに潜入したが、ヘロイン所持者を見つけることはできなかった。「発見は他の薬物より難しい。利用者を見つけるには、クラコランジアにあるバラック小屋の内部を直接探すしかない」と取材をサポートした公共医療職員は語った。
取材に応じた麻薬中毒者の一人は、「ヘロインは外国人の間で流行ってるだけさ。俺達には高くて買えない」と語った。また取材班に、「ヘロインいるかい? 効き目長持ちだよ。知り合いに言って、もらって来るから先に金を出しな」と、売りつけて来る人もいた。
警察の麻薬捜査課(Denarc)はヘロインを流通させているグループを見つけ、流通量を突き止めようとしているが、捜査は難航している。Denarcを指揮するルイ・フェラス・フォンテス警部は、「ヘロインは普段、クラコランジアの外に置かれており、胴元は〃運び屋〃を使っている。運び屋は頻繁に入れ替わるから足もつきにくい。そもそも高価なため、利用者も流通量も少ない」という。
関係者らは、ヘロイン密売は1年以上前から始まっており、アフリカ人の密売者らは、犯罪組織と協定を結び、同地域での商売を許可されていると見ている。