ベネズエラ議会は25日、同国のニコラス・マドゥーロ大統領が憲法を遵守していないとして、政治裁判にかけることを決めた。26日付現地紙が報じている。
これは先週、ベネズエラの選挙管理委員会が、マドゥーロ大統領罷免を呼びかける国民投票の実施を望む国民の署名集めを「野党側に違反があった」として無効化し、26~28日の最終締切日を待たずに急遽打ち切ったことに対する議会の不満を表明したものだ。昨年12月の選挙以来、同国議会は野党の民主連合会議(MUD)が与党・統一社会党(PSUV)を抑えて過半数を占めている。
マドゥーロ氏が「憲法の手続きに従わない」ことを理由とした政治裁判の準備に入ることは、25日の議会で決まった。
「政治裁判」とは、同国議会が大統領は政治的な責任を負えないと判断した場合、裁判所が免職の可否を裁くものだが、ブラジルとは異なり、議会が罷免を決められない上、罷免審理の間の停職もない。また、ベネズエラの最高裁判事は全て大統領の指名で決められているため、野党側は不利だ。
だが、同裁判は野党内でも共通見解ではなく、MUD事務局長のへスス・チュオ・トレアルバ氏らは「バチカン市国を仲裁役にした与党との対話」を求めている。
だが、MUDの大統領候補だったエンリケ・カプリレス氏や、政治犯として逮捕中の野党側指導者レオポルド・ロペス氏夫人のリリアン・ティントーリ氏ら、連合の中心的リーダーが「与党側に聞く耳などあるはずがない」と猛反発し、裁判開始を強硬に進めた。
同国では、27日に国民投票の署名差し止めに反対する大規模デモも行われたが、ヴラディミール・パドリーノ防衛相は「軍は常にマドゥーロ大統領の側にある」と強気の発言を行っている。
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