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ブラジル最高裁=年金受給後に納めなおしての支給増額は違憲=全ての判事による投票は7対4=国庫に年間77億レアルの歳入

カルメン・ルシア最高裁長官(Jose Cruz/Agencia Brasil)

カルメン・ルシア最高裁長官(Jose Cruz/Agencia Brasil)

 ブラジル最高裁は26日、一旦退職して年金受給に入った人が再就職して年金を積み立てることで、年金額を再調整する「デザポゼンタソン」は違憲とする判決を下したと27日付現地紙が報じた。
 同件は全国規模の問題となっており、最高裁の判決は18万2千件にも及ぶ類似の係争に影響を与える可能性が強い。
 最高裁判事11人による投票結果では、7対4でデザポゼンタソンは違憲と判断された。
 デザポゼンタソンは違憲で、年金受給者が再就職後に積み立てても、年金額を再調整する権利はないとの票を投じたのは、ジウマル・メンデス、テオリ・ザヴァスキ、セウソ・デ・メロ、エジソン・ファキン、ジアス・トフォリ、ルイス・フックスの各判事と、カルメン・ルシア最高裁長官だった。
 総弁護庁のグラーシ・メンドンサ氏は、ブラジル政府は即座に年金額を再調整した人々に支払われてきた年金(差額分)の返還を求める訴訟に入る事を検討するとし、「この件は国立社会保険院が既に検討に入っている」と語った。
 総弁護庁は、年金額の差額返金で、国庫には年間77億レアルが戻されると推計している。
 テオリ・ザヴァスキ判事は「最就職後に払う年金の積立金は、社会保障制度や、国家運営に必要な経費を支えるために使われるべきで、年金生活に入った後に払った分で『自分の支払額は事実上増えているから、受取額も増える』との理屈は通用しない」と語った。
 デザポゼンタソンを認めるとしたのはリカルド・レヴァンドフスキ、ローザ・ウェベル、マルコ・アウレリオ・メロ、ルイス・ロベルト・バローゾの各判事だ。マルコ・アウレリオ・メロ判事とバローゾ判事は、同件が絡んだ2件の訴訟の報告官を務めた。
 前最高裁長官のレヴァンドフスキ判事は、「不況の中、一旦年金受給資格を得た者が再び働き、所得を得るのは普通のこと。その人物が正規雇用なら、当然、社会保障費も自動的に支払っており、受給増額を禁じる規定はない」とした。
 最高裁は27日、地裁や高裁が最就職後に年金額を再調整する権利を認めた人の扱いについて、改めて審理した。
 ブラジル年金受給者協会は最高裁に対し、性急なデザポゼンタソン禁止の判断を下さないようにと嘆願している。
 財政改革を推進中の連邦政府も、年金改革案を取りまとめる上で、デザポゼンタソンの扱いを、他の条項とのバランスをとる材料にする思惑があり、性急なデザポゼンタソン禁止は望んでいない。