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テオリ判事=メーチス作戦差し止める=「上院警察も最高裁の管轄」=3月のルーラ盗聴の件に続き=レナン議長に有利な結果に

27日の最高裁でのテオリ判事(右)とカルメン長官(José Cruz/Agência Brasil)

27日の最高裁でのテオリ判事(右)とカルメン長官(José Cruz/Agência Brasil)

 連邦最高裁のテオリ・ザヴァスキ判事は27日、連邦警察が21日に上院警察に対して行った「メーチス作戦」の差し止めを命じた。これは、「上院」という立法府内で勤務する人に対する判断を、最高裁ではなく、地裁が判断したことを問題視したものだ。28日付現地紙が報じている。

 メーチス作戦では、ラヴァ・ジャット作戦に関与した疑いのある上議からの依頼で盗聴器の有無を調べたりして連警の捜査を妨害した疑いで、上院警察司令官ら、警官4人が一時逮捕された。
 警官4人は全員釈放されたが、その中の一人のアントニオ・タヴァレス氏が、上院警官への逮捕令状や上院内の捜索令状を出したのが最高裁ではなく、ブラジリア連邦地裁のヴァリスネイ・デ・ソウザ・オリヴェイラ判事だったことを理由に、同作戦の無効化を最高裁に要請した。
 この件では、上院警察とのつながりが強いレナン・カリェイロス議長も強く反撥した。同議長はブラジルでは現職の連邦議員に関する捜査の許可や裁判は最高裁の管轄で、その原則は議会に携わる全ての人に当てはめると主張し、連警の行動を擁護した法相をも批判した後、最高裁に無効化を要請した。
 一方、カルメン・ルシア最高裁長官は、レナン議長が「捜査対象は議員ではないため、最高裁を通す必要はない」と判断したヴァリスネイ判事を見下すような言動を行ったことを批判し、司法関係者への敬意を忘れないよう求めた。
 一方、テオリ判事は、上院警察は上院議長の命令や許可を得て動いており、彼らが保護しようとしたとされる人物も現、元上議であることを理由に、メーチス作戦を打ち切る暫定令を出した。同判事は盗聴器の有無などを調べるための器材入りのカバン10個など、連警が押収した物件を最高裁に送らせ、連警や連邦検察庁の関係者から詳細な事情を聞く意向だ。
 この判断は、レナン議長が指摘し、ロドリゴ・マイア下院議長やジウマール・メンデス最高裁判事らも支持した「立法府に携わる人物の捜査や逮捕を地裁レベルで判断したのは、三権分立の原則を侵しかねず、最高裁の領分を侵した」との考えに基づいている。
 テオリ判事は、3月15日に起きた、ルーラ氏の逮捕逃れが目的と疑われる官房長官指名発表直後に、パラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事が連邦警察が行ったルーラ氏の盗聴記録を公表することを許可したことを良しとせず、盗聴記録を含む、ルーラ氏に関する資料を最高裁に引き渡させた件でも知られている。ルーラ氏は当時、政治要職に就いてなかったが、ジウマ(当時)大統領の声が録音されたことなどが問題となっていた。
 27日のテオリ判事の判断を、レナン議長やテメル大統領は喜んで迎えた。なお、テオリ判事の暫定令はレナン議長からの訴状に対するものではなく、タヴァレス氏からの訴状に応じたものだ。