海外日系人協会(田中克之理事長)が主催する第57回海外日系人大会が24日から3日間、東京の憲政記念館などで開催された。19カ国から集まった203人が、日本社会とどのように共生していくかを探った。
24日には基調講演会と秋篠宮同妃両殿下をお招きしての歓迎交流会。24日には国際シンポジウム「21世紀の日系人像」として南カリフォルニア大学ダンカン・ウィリアムズ教授やブラジル日本文化福祉協会の呉屋春美会長の講演が行われ、分科会ごとに討議をした。その結果が次の7項目の大会宣言として26日に採択された。
(1)「日系社会が急速に多様化している点を認識し、新たな共生の施策が必要」では、日本側からの日系社会への取り組みは「支援」ではなく、今後は「共生」「協力」に比重に移した施策にするように求めた。
(2)「ビジネスや国際協力など多様な分野で人材活用を」では、日系人がビジネスで有益な人材として日本でもっと認識されるように求めた。
(3)「日系の若者は多様性、柔軟性、人脈を武器に、グローバル人材として日本と在住国の橋渡しに務めます」
(4)三世までに限定されている特別定住ビザに関して「四世以降にも在留資格の配慮を」という要求項目も入った。
(5)「日系社会で活躍する非日系人の育成・活用を提案します」、(6)「重国籍者には、柔軟な国籍対応を求めるよう日本政府に求めます」、(7)「在外選挙権制度の簡素化を」。
参加2回目の邦字紙・日豪プレスの池口アイク社主に感想を尋ねると「日系人同士の国を越えた横のつながりが必要だと痛感した」という。
田中理事長は「私個人としては四世ビザに前向きじゃない。今のままだと日本社会の底辺に送り込まれる可能性がある。先に受入れ体制(教育等)をカチッとしたものにしないと。ワーキングホリデー制度を検討してはどうか」と語った。
最終日の5分スピーチではサンパウロ日伯援護協会の菊地義治会長が活動紹介をしたほか、計8人が意見を述べた。
衆参両議長主催昼食会で、伊達忠一参院議長は「皆さんのご苦労が、それぞれの国と日本との交流に活かされている」と称賛し、大島理森(ただもり)衆院議長が勢いよく乾杯の音頭をとった。「中南米の日系人を支援する議員連盟」の河村建夫会長(衆議)も挨拶するなど約10人の代議士が会場を訪れた。
ラテンアメリカ協会の桜井敏浩常務理事は「例年より日系人参加者も国会議員も多い。これは安倍総理が日系人重視を打ち出した影響では」と分析した。
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日豪プレスの池口アイク社主と邦字紙の将来について話していると、「日豪にはワーキングホリデーがあるので、日本人はどんどん増えている。司法試験に合格した東大法学部の女子学生が最近、その制度を使って記者に応募してきたので驚いた」とのこと。日本と最初に同制度を始めたのはオーストラリアで、今でも参加者の半数が同国を目指す。2番目はカナダ。日本は計16カ国と協定があるが、ブラジルとの場合、問題は失業率11%という高さか。まずはテメル政権が好況にすることを期待?