今回の統一市長選の結果、ジェラウド・アウキミン・サンパウロ州知事は、その影響力が同州内で強化されただけでなく、民主社会党(PSDB)の18年の大統領選候補としても一気に躍進した。10月31日付伯字紙が報じている。
アウキミン知事は10月2日、自身が後ろ盾となって推していたジョアン・ドリア氏がサンパウロ市市長選では初となる一次選挙での圧勝を飾ったことで既に話題を呼んでいた。
さらに、PSDBは、サント・アンドレやルーラ元大統領(労働者党・PT)の自宅のあるサンベルナルド・ド・カンポ、サンカエターノ・ド・スルのABC3市を制するなど、大サンパウロ市圏全39市中、11市で勝利した。
大サンパウロ市圏内には、これまで「赤ベルト地帯」と呼ばれるほど強固なPT地盤があったが、PTはABC地区を全てPSDBに奪われたのをはじめ、オザスコやグアルーリョスなどでも他党に市長を奪われ、同圏内で市長がたった1人という、結党以来の大惨敗となった。
このルーラ氏の地盤である大サンパウロ市圏で圧勝したことで、サンパウロ州内のアウキミン氏の影響力が上がったことはもちろんだが、この勝利で、18年の大統領選でのPSDB候補としても一歩リードしたと見る向きが強い。
それは、アウキミン氏がドリア氏をサンパウロ市で圧勝させたのとは対照的に、14年の同党候補でジウマ氏に僅差で敗れたアエシオ・ネーヴェス氏が、膝元のベロ・オリゾンテの市長選でジョアン・レイテ氏を市長にすることに失敗したためだ。アエシオ氏はラヴァ・ジャット作戦(LJ)でも疑惑の人物として名前が挙げられ、ただでさえダメージがあったが、今回の結果が追い討ちをかけかねないものとなった。
今回の統一市長選は18年の大統領選を占う意味でも重要だが、今回の選挙の結果、ルーラ氏、そして自身が指揮する政党の持続ネットワーク(Rede)が全国で7人しか市長を擁立できなかったマリーナ・シウヴァ氏の勢いが後退したと見る向きが強い。
ルーラ氏とマリーナ氏が苦杯をなめた一方、左翼系大統領候補として勢いをつけたのが民主運動党(PDT)のシロ・ゴメス氏だ。PDTは今回の選挙で市長数、統治市民数で共に5位と、野党勢では最高の数字となった。さらに同党は、同氏の拠点であるセアラー州フォルタレーザの市長の座も押さえている。
PT内では今回の惨敗とLJでのスキャンダルで、18年選挙へのルーラ氏出馬をあきらめる声まで流れはじめている。
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