ブラジルのエビ生産量の半分を占める北東部セアラー州に今年6月、エビの身に白い斑点がつき、死に至らしめる伝染病が発生し、同地のエビの生産高が激減。これによって価格も高騰していると10月29日付現地紙が報じた。
エビの価格は年初と比べて50%も高騰しており、シーフードレストランは苦境に陥っている。
ブラジルの食用エビの生産はリオ・グランデ・ド・ノルテ州、セアラー州での養殖が主流だ。
イタマル・ロッシャブラジル甲殻類生産者協会(ABCC)会長は、「セアラー州での生産量は伝染病で3割減っており、昨年は7万6千トンだった収量が、今年は6万トンにも達しないだろう」と語った。
1月のセアラー州におけるエビの価格は、グラムあたり1・45レだったが、9月は45%増の2・1レだった。
シーフードレストランを150軒以上展開し、冷凍食品を製造、月間130トンのエビを消費するヴィヴェンダ・ド・カマロン社は、エビの確保に頭を痛めている。同社共同経営者のロドリゴ・パッリ氏は、「エビは、1994年のレアルプラン採用以来、最も値段が上がっている品目だ」と語り、エビの値段は94年から14年までに1254%上昇したと語った。
不足分を輸入に頼ろうとしても、検疫が足かせになっていると関係者は語る。エビの生産量は数年前から停滞し、価格が急騰した上、国内需要に追いつかないため、自社養殖を行う企業もある。
世界水産養殖連盟(GAA)発表のデータによると、ブラジルの養殖エビの生産高は、11年以来、年10万トン未満で停滞している。この状況は18年までは変わらないとGAAは見ている。
「エビ不足は今回の伝染病に始まったことではなく、ブラジルの抱える深刻かつ慢性的な問題だ」とパウロ・ソルムッシ、ブラジル バー・レストラン協会会長は語る。
同氏は続けて、この夏は、消費者がメニュー表でエビ料理を見つけるのは難しく、また、高くつくことを覚悟しなくてはならないだろうとした。