連邦会計検査院(TCU)が、国庫から州政府への貸付保障に関する調査を行う意向を固めた。それは今年すでに少なくとも10億レアル分の支払が滞り、州政府によって踏み倒される可能性があるためだ。1日付エスタード紙が報じている。
財務局が10月31日に明らかにしたところによると、国庫は2012年~15年に、「Cランク」「Dランク」の州政府に対し、合計730億レアルの貸付保証を出していたという。一方、「優良」と見なした州政府への貸付は449億レアルだったという。
この数字は、TCUが以前に「15年に踏み倒された州政府への貸付は50億レアルに上る」と公表していたのを受けた国庫が、当時の財相だったジョアキン・レヴィ氏が在任時に出していた数字をもとに修正したもので、同財相の時代は負債額も清算されていた。
だが、16年に入り、わずか5カ月で州政府の負債額は10億レアルに膨れ上がった。その原因は、リオ州とロライマ州から国庫への返済が不能となっているためだが、今後は他の州も2州に続きつつあるという。
このような事態は、州政府と国庫の間の貸付保障の粉飾によって起こった。社会経済開発銀行(BNDES)や連邦貯蓄銀行(CAIXA)、ブラジル銀行から返済能力以上の融資を受けた州が、財政悪化で返済不能となれば、州資産凍結などの措置も受けるため、財政事情がより悪化する悪循環も起きかねない。
こうした事態が起きた原因は、ジウマ第1期政権(2011~14年)下の2012年9月10日に、当時のギド・マンテガ財相に、C、Dクラスの州への貸付基準を甘くして大量貸付を行うことを認める例外的な権限が与えられたことだ。
その恩恵を最も受けていたのがリオ州で、「Cランク」だった2013年に、同州は国内用に62億レアル、国外用に6億6千万ドルの貸付を受けていた。翌14年、同州のランクはDに落ちたが、それにも関わらず、さらに83億レアルの貸付を受けていたという。
14年11月に財相に選ばれ、15年1月に就任したレヴィ氏はこのような貸付を止めさせようとしたが、15年12月に同氏が辞任し、ネルソン・バルボーザ氏が就任した後に復活、ジウマ政権が崩壊する16年5月まで続いていた。
ジウマ氏の大統領罷免は、生活扶助などの社会保障費を公的銀行に肩代わりさせて支払わず、国が公的銀行に多額の負債を抱えているのに、国庫は健全であるかのように見せかけて財政責任法違反を問われたことが直接的な原因だった。
財務局は、公的銀行の融資を申請する際に州政府が会計を粉飾し、州会計検査局がそれを承認していた可能性や、同局の警告を財務省が無視してきたこと、社会保障費の負債額も実際より小さく報告されていたことなども指摘している。