北パラナにあるマリンガ日本公園からの要請を受け先月中旬、ブラジルの茶道裏千家と生け花協会が出張お茶会と花展を開催した。サンパウロから裏千家の林宗一代表ら約15人の茶道関係者、また生け花協会のエリソン・トンプソン・デ・リマ会長ら6、7人の華道家が参加した。一般参加もおり記者を含めた30人弱を乗せたバスは14日深夜、目的地へと向かった。(小倉祐貴記者)
早朝に到着したバスを降りると、整然とした町並みが広がる。心なしか身なりの整った人も多い。都市計画に基づいて建設されただけに、観光地化した新興都市という印象だ。IBGE(ブラジル地理統計院)の発表では人口約60万人。州内では州都クリチバ(約190万人)、ロンドリーナ(約55万人)に次ぐ3位にまで成長し、来年は市制70周年を迎える。
関係者は早速、会場の日本公園で設営を進めた。サンパウロから持ち込んだ花材で花を生け、座敷、竹、砂利をあしらって茶室を構える。午前の内に約25点の生け花と立派な茶席が整った。
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時はさかのぼって2014年5月。ブラジルの日本人移住百周年(08年)の一大事業として始動した、マリンガ日本公園が完成した。定礎式は06年5月10日(市制記念日)だったから、ちょうど8年がかりのゴールだ。市の肝いりで始まり、この長い道のりにはJICAや草の根無償資金協力を通じて日本政府も協力した。
マリンガと姉妹提携を結ぶ兵庫県加古川も、選定技術を伝えるため造園技師を派遣するなどした。元々はゴミ処理場だった同地に、面積約10万平米の公園が完成。半分以上を占める日本庭園は、国内最大級の規模と見られる。
正面入り口ではこいのぼりと、当地では珍しい灰色の鳥居がお出迎え。敷地内には体育館やサロン、遊歩道、常設の茶室があり、加古川寄贈の石灯籠、竹垣、瓦屋根ほか優雅に鯉が泳ぐ池などは日本人にとって風情を感じる景色だろう。現在でも開園当時と変わらず、情緒ある景観が維持されているので少し安心した。
日本公園は皇室とも縁がある。マリンガには複数回に渡り皇族が来訪されているが、08年の移民百周年で皇太子さまが、昨年の外交120周年では秋篠宮さまがご夫妻で公園を訪れ、記念碑の除幕、植樹などをされた格式ある施設となっている。
そんな公園の管理運営は、OSCIP(公益民間団体)インスチツート・パルケ・ド・ジャポン・メモリアル・イミン100が担当。計画から携わる富居(ふごう)クリスチーナ・プロジェクト・マネージャーによれば、毎月7万レアルもの維持管理費がかかるらしい。(つづく、以降6面で掲載)