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大統領選にカルドーゾ再登板待望論=選挙時87歳の本人は否定

大統領復帰待望論が沸きあがっているカルドーゾ元大統領(Wilson Dias/Agência Brasil)

大統領復帰待望論が沸きあがっているカルドーゾ元大統領(Wilson Dias/Agência Brasil)

 10月の統一市長選で圧勝し、18年の大統領選では16年ぶりの政権奪回に期待のかかる民主社会党(PSDB)で、大統領選にフェルナンド・エンリケ・カルドーゾ元大統領の再出馬を望む声があがっている。
 これはPSDB内での表向きの大統領選第一候補というわけではない。同党でも大半の党員は、14年の大統領選に出馬し、この8月に罷免されたジウマ氏(労働者党・PT)に僅差で敗れた党首のアエシオ・ネーヴェス氏(56)か、現サンパウロ州知事で、サンパウロ市長選をはじめ、州内の市長選挙で圧勝して勢いを増しているジェラウド・アウキミン氏(65)のどちらかだと見られている。アウキミン氏は06年の大統領候補でもあった。
 ただ、アウキミン氏がPSDBの大統領候補になれない際は、ブラジル社会党(PSB)に移籍して出馬との声がささやかれている。さらに、現テメル政権で外務大臣をつとめ、02年、10年の大統領候補だったジョゼ・セーラ氏も現在74歳ながら大統領職をあきらめておらず、テメル大統領の民主運動党(PMDB)に移籍して出馬との噂も流れている。
 こうした、党内の有力政治家が大統領候補の座を巡って対立し、分裂する危機を避けるため、党内では同党の重鎮であるカルドーゾ氏を推す声が流れているというのだ。
 カルドーゾ氏は、1990年代にブラジルが未曾有のハイパー・インフレとコーロル大統領の罷免で揺れる中、イタマール・フランコ大統領の財務相に就任し、新通貨レアルを採用した「レアル・プラン」でブラジルの悪癖だったハイパー・インフレを解消した人物だ。その功績が認められて1994年の大統領選で勝利し、95年から2期8年その座についた。
 現在も85歳と高齢ながらPSDBの重鎮として君臨し、PT政権の13年は野党勢力の親玉的存在だった。
 ブラジルは現在も、ラヴァ・ジャット作戦での政治汚職や長引く不況、ジウマ大統領の罷免で揺れている最中。「そういうときこそカルドーゾ氏」との期待があがるのも理解できなくはない。
 だが、カルドーゾ氏本人にはこの待望論は寝耳に水で、「今はテメル政権による国の建て直しを最優先するべきだ」として、この噂を否定した。
 また、18年選挙に出馬する場合は既に87歳で、当選すると任期中に90代になることもあってか、カルドーゾ氏本人もしかるべき世代による政権運営を望んでいる。(4日付エスタード紙などより)