連邦最高裁は3日、「裁判の被告になっている人物が、大統領が国内にいないときなどに大統領職を代行する可能性のある職責にとどまることの是非」に関する審理を行い、結審こそしなかったものの、過半数の判事が「被告は大統領職を代行できない」との判断を下した。だが、この日の審理は一時中断され、再開日程が未定ということもあり、レナン・カリェイロス上院議長の職責維持に関する裁判も実質延期となった。4日付現地紙が報じている。
憲法上で大統領不在時の代行権を持つのは、副大統領(現在不在)、下院議長、上院議長、最高裁長官の順だが、3日の最高裁では、これらの人物が裁判で被告になった場合、その人物が大統領を代行する可能性のある職責に残れるか否かについての投票が行われた。
同件は持続ネットワーク(REDE)が起こした訴えを受けたもので、報告官を務めたマルコ・アウレリオ・メロ判事の「裁判の被告になった場合は職責を辞すべき(代行権は認められない)」との見解を、エジソン・ファキン、ローザ・ウェーベル、テオリ・ザヴァスキ、ルイス・フクス、セウソ・デ・メロの各判事が支持した。この時点で全判事11人中、過半数の6人が「代行権を認めない」との見解を示したことになる。
だが、ジアズ・トフォリ副長官が、再考を要請したため、この時点で審理が打ち切られた。
3日はリカルド・レヴァンドウスキー、ジウマール・メンデスの両判事が欠席しており、審理再開後に、トフォリ副長官やカルメン・ルシア長官と共に投票を行うことになる。なお、ルイス・ロベルト・バローゾ判事は同件の審理から外れている。審理再開時は投票内容の変更も認められるため、現時点で過半数に達していても、結論が出たとは言えない。
ただ、この日は結審しなかったことで、少なくとも当面はレナン議長が職責を解かれる可能性はなくなった。トフォリ副長官の再考要請後は審議再開のめどが立っておらず、同議長は17年1月まで議長職を務めることになりそうだ。
レナン議長はラヴァ・ジャット作戦でメンデス・ジュニオール社からの収賄と身分偽造容疑、また、ある企業に便宜を図り、その見返りに女性ジャーナリストとの間に出来た娘への養育費を払わせていた容疑などで訴えられており、これらの件で最高裁で被告になった上で、3日の審理の件の正式な結論が出れば、上院議長を免職になる可能性はある。
この結果を受け、連邦政府は喜んだ。なぜならば、今月末に政府の財政支出の上限設置を求めた憲法改正法案(PEC)241号の上院での投票があり、レナン議長がその推進役だったためだ。
ただし、大統領代行予定者は被告であってはならない事が正式に決まれば、17年2月に行われる上下両院の議長選挙への影響は必至だ。