今年で創立から70周年を迎えるパウリスタ野球連盟が先月22日、サンパウロ市内のホテルで記念式典を行なった。団体の資金難と経済不況が重なる時期だけに式典の見送りも検討されたが、日本カントリークラブ、サンパウロ、ジガンテ、コーペル・コチア、インダイアツーバ、アニャンゲーラといった各チームの役員や、現役選手も祝福に駆けつけた。
パウリスタ連盟は1946年10月28日に設立。あいさつに立った沢里オリビオ会長は、「終戦から1年経った頃にできた連盟。ブラジル野球の起源は日本にある」と振り返り、プロ野球・広島などで活躍した元投手の玉木重雄さんや、08年北京五輪の金メダリストになったソフトボールの染谷美佳さんなどを輩出した歴史を紹介した。
「キャッチボールは人と人との絆を結ぶ第一歩。だから楽しくやりましょう」と日本語で力強く呼びかけ、10年前の創立60周年でも語った言葉で締めくくった。
こうした式典はこれまでの歩みを顧みて、課題を見つめ直す機会にもなる。インダイアツーバ、アチバイアなど市との連携を確立した地域は強化体制が整っているが、州全体の競技人口は減少気味という。さらなる発展に向けて関係者は、競技普及や技術強化、指導者育成のため日本との交流が必要だと感じているようだ。
元会長の吉岡黎明さんは、「選手は混血化が進み非日系も多い。これは普及と強化に努めた成果でもある」と前向きに捉えたが、「礼儀作法やマナー教育がおろそかになっていないか心配。プロを目指す気概も必要だが、何よりも人間形成を重視してほしい」と願い、ブラジル全土に派遣されているJICAボランティアの役割に期待した。
ブラジル連盟の大塚ジョルジ会長もサンパウロ州野球界に、「全国を引っ張ってほしい。他の州も負けないようにと刺激が生まれる」とエールを送った。
式典の最後には、第14回州大会の表彰も行なわれた。キューバ出身の代表選手、ルイス・コーバス捕手(42)=アニャンゲーラ所属=が大会最優秀選手に選出された。9月に敗退したワールド・ベースボール・クラシック2017予選大会のメンバーでもある。
予選を終え「代表は健闘したと思うが、打撃力が足りなかった」と悔しさを見せた。「もっと良くなれる。進歩できる」と話し、正式種目に追加された4年後の東京五輪へ期待を寄せた。