ブラジル社会開発農務省は社会福祉政策「ボウサ・ファミリア(生活扶助)」受給者1390万人の再調査を行い、全体の7・9%にあたる110万人が不正受給をしていた疑いがある事を発見した。違反は全て、収入を低く偽り、受給資格がないのに受給しているケースだった。
ブラジル社会開発農務省は、46万9千人へのボウサ・ファミリアの支給を即刻停止、残り64万4千人は受給者の登録内容に誤りがあるか否かが明らかになるまで一時休止とした。
ボウサ・ファミリアは世帯の構成人員1人当たりの月収が85レアル(2720円相当)以下の極貧困層か、85・01~170レアル(5440円相当)の貧困層世帯に支給される。
オズマール・テラ社会開発農務大臣は「ボウサ・ファミリア受給世帯の収入を調査する。これは本当にボウサ・ファミリアを必要としている世帯を見つけ、その人々へちゃんと必要な援助を届けることを目的としている」と会見で語った。
ボウサ・ファミリア受給世帯には、子供を学校に通わせる、予防接種を規定の期日内に受けさせるなどの義務がある。
政府は11月3日に、ボウサ・ファミリア受給者1万3千人を受給者登録更新の名目で呼び出したことを発表した。この1万3千人は、データを検証した結果、政治献金を行っていた事が判明したため、ボウサ・ファミリアの支給が一時凍結されている。
ボウサ・ファミリアを受給している人が政治献金を行ってはならないという規定はないが、今後半年間かけて捜査し、ボウサ・ファミリア受給者の収入額と献金額がつりあいを欠いていると判断された場合(不正受給と判断された場合)、支給は完全に停止される。
ボウサ・ファミリア受給者が政治献金を行っていないにも関わらず、受給者の納税者番号(CPF)が政治献金者のリストに入っている場合は、各市町村でボウサ・ファミリアの支給を担当する部署に赴き、献金者リストにミスがあることを申し出なければならない。
ボウサ・ファミリアの不正受給疑惑は、10月2日に投票が行われた統一地方選のキャンペーン中、7500万レアルもの政治献金を行ったボウサ・ファミリア受給者がいたことが判明した事などで、急速に高まってきていた。
なお、選挙期間中の政治献金者のリストには死者の名前が290人分ある事や、5千万レアルという、所得とはまるで不釣合いな額の政治献金を行った人がいる事などが判明しており、誰かがボウサ・ファミリア受給者などの情報を悪用した可能性なども指摘されている。(11月7日付G1サイトならびに10月17日付G1サイトより)