ブラジル史上最大級の環境破壊事故となった、ミナス州マリアナ市の鉱山採掘会社サマルコ社の鉱滓ダム決壊事故発生から、5日で1年経った。
3日に対策会議を開いたテメル大統領(民主運動党・PMDB)は、「被災者全てが元の住まいに戻り、仕事に戻って初めて、被災地に日常が戻った、復興したと言える」と語ったが、現状はそれには程遠い。
事故から1年経った現場の様子、被災者の窮状を、4、5日付現地紙・サイトが報じた。
事故からちょうど1年となる5日、事故の影響をもっとも受けたマリアナ市ベント・ロドリゲス地区では、被災者ら数百人が早期の援助を求めて抗議集会を行った。
一行は10月31日に、鉱滓がドッセ川に流れたことで被害を受けたエスピリト・サント州の大西洋岸の町、レジェンシアを出発。5日のマリアナ市到着を目指し、700キロの道のりを行進してきていた。
行進を主催した、ダム決壊事故被災者運動のコーディネーター、レチシア・デ・オリベイラ氏は、「被災者達は未来が見えないことに大いに不満を抱えている。全ての措置は『暫定』の文字が取れない。最低賃保証も暫定的で、いつ打ち切られるか分からない。今の住処もいつまでいられるかわからない」と語る。
被災して生き残った家族達もベント・ロドリゲスでの集会に参加した。
集会では泥にまみれ苦しむ人々の登場する劇が行われ、見る人々に事故の悲惨さを思い起こさせた。集会参加者達は、事故で亡くなった19人の労働者と住民への思いを示すため、人数分の十字架も持ち込んだ。「私は事故で孫を失った。自分の身体、魂、人生の一部が流されてしまった」と孫のエマヌエレちゃんを失ったエルミニア・モンテイロさんは嘆く。
ベント・ロドリゲス地区は廃墟のままで、事故発生直後から何も変わっていない。同地区では、壊れたダムの内部に残っている残留物(鉱滓)を食い止めるために新たな堤防を建設する計画がある。ベント・ロドリゲスはその内側に位置しているため、堤防建設の折には水没する事になる。