五輪にまつわる投資増額や人件費の拡大その他で財政が悪化し、公務員給の遅配なども含む財政上の問題が深刻化していたリオデジャネイロ州で、国による銀行口座凍結も起きたと8日付エスタード紙などが報じた。
同州の銀行口座の凍結は、4~6月に支払うべき国への返済金3870万レアルの遅延などが原因で、7日までに3040万レ分が凍結された。連邦財務局によると、国が保証人となっている、社会経済開発銀行(BNDES)や連邦貯蓄銀行、ブラジル銀行、世界銀行といった金融機関に対する負債もあるため、銀行口座凍結額は1億7千万レに達したという。
銀行口座が凍結されると、凍結された負債額を満たすまでの間、同州に入ってきた金は国庫に振り込まれるため、同州公務員や公的機関への支払いや、同州からの事業やサービスを請け負った企業などへの支払いも実質的に不可能となる。
リオ州政府は6月の時点で債務不履行である事を認め、国の援助なども仰ぐ事ができるよう非常事態を宣言したが、州議会が承認したのは11月1日。同日は、司法関係者への支払い用に2億1450万レ分の銀行口座の凍結も言い渡された。
同州が財政破綻し、公務員への給与の支払いも滞っている事は、10月にジョゼ・ベルトラーメ州保安局長やフェルナンド・ベローゾ州市警総監が辞任した事の直接、間接の原因にもなった。
また、同州の病院では機器や資材の不足で市民への対応にも支障が出るなど、財政破綻の影響は随所で見られている。
癌治療のために休職していたフェルナンド・ペゾン知事は、財政立て直しのために復職直後、州議会での非常事態宣言承認という切り札を得て、4日には財政改善のための諸政策を打ち出した。
改善策は、部局の統廃合、知事や局長の減給、公務員からの社会保障費の徴収率引き上げ、年金受給者らからの社会保障費徴収、年金基金の一部を人件費支払いに利用、大衆食堂を市の管轄に移す、連邦政府の生活扶助(ボウサ・ファミリア)受給者への支援カット、公共交通機関利用者用のビリェッテ・ウニコの利用料金や燃料、アルコール飲料などへの税引き上げなど、多岐にわたる。
これらの策の一部は知事令として発効済みで、同州政府は17年だけで133億レを節約する意向だが、実質的な負担増となる改善策には市民からも不満の声が出ており、議会での承認に手間取る可能性も強い。
同州政府は、これらの改善策をもってしても18年末時点の負債は520億レと見ており、財政再建は至難の業だ。人件費の際限なき拡大など、同州と似た状況の自治体は多く、連邦政府も含めた対応が注目される。
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