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サンパウロ総合大学=強姦者に医師資格認定?=女子学生らが一斉に抗議

 9日朝、サンパウロ総合大学(USP)医学部前で、看護学科の女子学生を強姦した容疑で起訴された男子学生に医師資格が認められる可能性がある事に反対するグループが抗議行動を行った。
 抗議行動で槍玉に挙げられているのは、強姦罪で起訴され、裁判を待っている同大医学部のダニエル・タルシゾ・ダ・シウヴァ・カルドーゾ被告(35)だ。
 同被告は2004~08年に軍警として勤務したが、04年のカーニバルに喧嘩した相手を殺して殺人罪に問われた。同被告は正当防衛が認められ、1年間の実刑判決を受けたが、その後、刑は免除された。
 強姦事件を起こしたのはUSP入学後の2012年で、被害者の女子学生は、同被告に薬物入りのアルコール飲料を飲まされて感覚を失い、被害に遭った。同被告は元警官で柔道の心得もあると言った後に彼女を羽交い絞めにし、完全に動きを止めたともいう。
 大学側は同被告を1年半の停学処分としたが、同被告は復学後に卒業に必要な単位を取得しており、医師資格の認定を受けるばかりになっている。
 これを知った関係者らは、少なくとも同被告に対する裁判が結審するまでは卒業を認めるべきではないと判断し、抗議行動を起こした。
 USP医学部は、同被告は大学側が課した懲罰を既に終えており、卒業資格があると考えたが、裁判の対象になっている事から、学内の司法担当者に状況分析を依頼しており、結果が出るのを待っているという。
 USP卒業生のドラウジオ・ヴァレラ医師も、「医者は仕事柄、常に患者の肉体に接する。患者や世間の人々は皆、患者が酔っていたり、麻酔や麻薬を使ったりしている時でも、医者は患者をもて遊んだりしないという信頼感を持っているべきだ。事件当時、私はまだ学生で、自分が学んでいる医学部で強姦事件が起きた事を本当に恥ずかしく思った」とソーシャルネットワークで述懐し、同被告の医師資格所得に反対の意を唱えている。
 USPで法学の博士号をとったマリナ・ガンザロリ氏も、この事件はUSPで起きた強姦事件の中でも最も明白な犯罪事件とした上で、「同被告に卒業や医師資格を認めたりしたら、社会や学会はUSP医学部の事をどんな所だと考えるのだろう」と問いかけている。
 なお、同被告の弁護士は9日の抗議行動後、改めて「自分のクライアントは無罪だ」と主張している。(9日、10日付G1サイトより)