上院で初回承認を得たばかりの政治改革のための憲法改正(補足)法案(PEC)に対し、下院が早くも強い抵抗を示している。理由は、条項の中にある「政党数削減」で、各政党が強く反対する市政を見せているという。11日付エスタード紙が報じている。
民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス上院議員が提案した改正法案は、9日に上院で初回の承認を得た。2回目の投票は今月の23日に予定されており、再度承認されれば下院での審議に回される。
今回承認された改正法案は、ブラジル政界で長年問題となっている「政党の数の過剰なまでの多さ」を制限するものだ。それは、政党が多すぎるために国内の政治の意思統一が図れず、行政や議会での多党連立にもつながるためだ。多党連立を前提とする政治体制は、「支持取り付けの見返り」としての贈収賄が横行する理由にもなっている。
そういうこともあり、今回の法案では、「2020年選挙からの政党連立禁止(連立の形で擁立した候補が大量得票しても、その恩恵は当該候補の政党にしか及ばなくなる)」や「党の合併(連盟の新設)」などについて記載されている。
しかし、下院ではこの改正法案に強く反対する流れがある。下議たちが強く反対しているのは、「政党数の削減」という案だ。
現在、ブラジルには35政党が正式に登録されており、うち28党が連邦議員を擁しているが、今回の法案を14年の連邦議員選に当てはめると、議員を擁する政党は16にしかならないという。一方、選挙高等裁には現在も、29の政党新設の届出が出ている。
具体的には、18年の下議選から、少なくとも14の州で各州の有効票の最低2%を得、その総計が全国の有効票の2%を超えるという条件を満たせなかった政党は、テレビ・ラジオでの選挙放送の時間や政党支援金の割り当てがなくなり、22年の選挙からは、最低比率を3%に引き上げると規定している。
これに対し、主に議員数の少ない政党は「〃結党の自由〃を記した憲法に明らかに違反している」として、強い反対の声があがっている。
下議数11人のブラジル共産党(PCdoB)の下院リーダーのダニエル・アルメイダ下議は、「少数政党が政治基盤を弱くし、統治を難しくしているという考え方は偏見に過ぎない」と強く反対している。同様の声は社会秩序共和党(PROS)やブラジル労働党(PTB)の下議からも飛び出している。
また、当初は政党削減に賛成だった労働者党(PT)も、それぞれの政党の立場を尊重するべきだとして反対に回っている。PTの場合は、ジウマ前大統領の罷免に統一地方選での大敗で、党が分裂の危機の最中にもあるから、切実だ。
提案者のアエシオ氏自身も、9日の上院での討議を見て、下院での法案修正はやむなしと考えはじめているという。