アメリカの大統領選でドナルド・トランプ氏が当選したことを受け、移民が多いフロリダ州などに住むブラジル人たちが強い不安を感じていると、11日付フォーリャ紙サイトが報じている。
フロリダ州は米国におけるブラジル人移民の最大の受け入れ先で、現在、ブラジル外務省の正式な数字で約30万人のブラジル人移民がいるというが、実際はもっと多いはずだという。
その中のひとり、マリア・エレナ・オリヴェイラさんは25年前にビザなしで入国し、その後、プエルトリコの男性と結婚。グリーンカード(永住権)を持てる立場にあるが、取らないまま生活しているため、トランプ氏の今後の政策を恐れている。同国でグリーンカードを取得するには、少なくとも50万ドルの費用がかかるという。
また、トランプ氏が問題にしているのはあくまでも「不法滞在者」ではあるが、「すべてのタイプの移民が不安にかられている」と語るブラジル人移民も少なくない。
パライバ州出身で、冷凍ポン・デ・ケージョなどのブラジル製品の配送会社共同経営者のヴィトル・ソウザさんは、トランプ氏当選の報道を聞き、直ちに商用ビザを申請したが、「トランプ氏が〃外国人がアメリカ人の仕事を奪っている〃と繰り返して主張するたびに、〃ここで仕事をしているのは間違っているか〃と悩み、国外追放されるのではないかと考えた」と悩みを打ち明けている。
フロリダで外国人のビザの問題を専門に扱っている弁護士のパトリシア・ボッシさんは、「トランプ氏の外国人嫌悪や人種差別的発言に関しては、所得の違いに関係なく、あらゆる移民が不安をかかえている」と語っている。
また、クライアントのほとんどがブラジル人だという不動産業者のレオ・イコウヴィッツ氏は、「移民政策の変更で影響を受けやすくなるのは、社会保障を受けていて働く必要がない人だ」と語った。同氏のクライアントは、子供に教育を施すために学生ビザで入国した人が多いが、彼らがビザを更新した後に別なビザに切り替えれば働いたりできるとした上で「トランプ氏もこういう目的で入国した人たちの計画まで変えたりはしないだろう」と語っている。