ブラジル連邦下院で16日、汚職防止法案の報告官であるオニキス・ロレンゾーニ下議(民主党・DEM)の提出した意見書を〃骨抜き〃にするべく、各政党は連携の道を探っていた。これは、汚職容疑の捜査、特にラヴァ・ジャット(LJ)作戦を弱体化させる可能性があるものだった。 それに対して不満を抱く50人ほどの集団が、午後3時半頃、下院本会議場に乱入し、議事進行を中断させたと、16、17日付現地紙・サイトが報じた。 下院に侵入した抗議集団は、「汚職撲滅!」「軍の介入を!」「セルジオ・モーロ(LJ作戦担当の判事)万歳!」などと叫び、本会議場を占拠した。 侵入事件発生当時、下院では、ヴァウジール・マラニョン副議長(進歩党・PP)が議事進行を司っていた。抗議集団は、壇上に上がり、議長台を占拠し、議会の即刻閉鎖を求めた。 ダルシジオ・ペロンジ下議(民主運動党・PMDB)は「彼らは陸軍将軍をここに呼ぶように求めている。彼らは極端な右派だ。私は軍政時代を体験したし、酷かった労働者党(PT)政権時代も知っているが、民主主義は尊重されるべきだ。彼らは民主主義をないがしろにしている」と批判した。 抗議者達は、高すぎる公務員への給与、年金の見直しや、(抗議者たちの見解では)「共産主義や社会主義に偏向している公教育」の見直しも求めた。さらに、「下院議員達はブラジルに共産主義を植えつけようとしているので軍部介入を求める」と語り、法案裁可前の選挙での裏金疑惑を免罪としたり、司法取引の条件を変更したりして汚職防止法を弱体化させ、LJ作戦の捜査の一部を無効化させる動きにも反対した。 ロドリゴ・マイア下院議長(DEM)は、「抗議のデモ隊はただの暴徒だ。議会警察に対し、抗議集団を連邦警察に引き渡すように命令した」と語り、「力ずくで議会に侵入し、議長台に許可もなく上った集団に対し、逮捕要請を出すことに躊躇しない。交渉の余地はない」と続けた。 抗議集団は午後6時半頃までに完全に退去し、連邦警察署に連行されたが、議会の外では、警察署への連行を阻もうとする人々と警官とのもみ合いもあった。テメル大統領(PMDB)も同夜、「事件を遺憾に思う。抗議者達の行為は民主主義への侮辱だ」との声明を発表した。 11月末に予定されている上限法の最初の上院投票など、重要法案の審議、採決を控えている政府が最も憂慮しているのは、主にリオ州で発生している抗議活動や、今回のブラジリアでの混乱が、ブラジル全土に拡大することだ。