17日のセルジオ・カブラル前リオデジャネイロ州知事の(民主運動党・PMDB)逮捕は、リオ州ならびに国政に大きな波紋を投げかけている。18日付現地紙が報じている。
カブラル前知事の逮捕は、リオ州が財政破綻に陥っている状況下、衝撃を持って迎えられた。
2007~14年に同知事政権が行った連邦政府の資金による公共事業中、サッカーW杯に向けたマラカナン・スタジアム改修、経済活性化計画(PAC)でのファベーラ改良計画、高速道「アルコ・メトロポリターナ」建設、リオ石油コンビナート(Comerj)の4事業で横流しされた金は2億2400万レアルに上るという。
カブラル容疑者はこれらの事業契約に関し、契約額の5%の賄賂を要求した上、これらの事業を担当していた州政府の局長にも1%を支払わせていた。これは、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)で労働者党(PT)の政治家がペトロブラスの事業契約で支払わせていた賄賂(契約額の3%)と比べても高い数字だ。
カブラル容疑者はさらに、アンドラーデ・グチエレス社からは毎月35万レアル、カリオカ・エンジェニャリア社からは第1期に20万レアル、第2期は50万レアルの賄賂を受け取っており、その総額は4千万レアルを超えている。
カブラル容疑者の逮捕後、かつて同容疑者との蜜月ぶりも伝えられていたジウマ前大統領は「もう、支援者といえるほどのものではなかった」との声明を発表した。ジウマ氏はその根拠として、カブラル氏が14年の大統領選でアエシオ・ネーヴェス氏(民主社会党・PSDB)に票を投じたことをあげている。
だが、カブラル氏が13年にリオの高速鉄道(VLT)の契約締結式典の際にジウマ氏と隣り合って「国と州は切っても切れない関係にある」と語っており、14年のリオ州知事選で、自身の後継にペゾン氏を立てたにもかかわらず、PTがリンドベルグ・ファリアス上議をぶつけてきてPMDB内で問題になった際も、カブラル氏がジウマ氏に逆らうことに反対したと言われるほど、仲は深かった。
また、ジウマ政権下の2013年、ギド・マンテガ財務相(当時)が、Cランクの債務者扱いだった同州に対し、国内用62億レアル、国外用6億6千万ドルの貸付を認めたのも両者の仲の深さを示している。同財相による巨額貸付は、カブラル政権での汚職と共に同州の財政破綻を招いた要因の一つといえる。同政権が横流した額は、ペゾン知事が停止を発表した社会政策費を充分埋め合わせられる額だ。
カブラル氏逮捕は、PMDB内にも波紋を投げかけている。後継のペゾン知事は「事実無根」として弁護に動いている。カブラル氏はテメル大統領の派閥ではないが、かつては党内の大統領候補にもなった人物で、モレイラ・フランコ公私合同投資局長やレオナルド・ピシアーニ・スポーツ相と親しかった。
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