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企業家版「ブラジルのトランプ」が大統領選出馬を希望?=同系列番組出身のジュストゥス氏

 ブラジル有数の成功したビジネスマンとして知られるロベルト・ジュストゥス氏が、同じ系列のリアリティ・ショーに出演していたアメリカのドナルド・トランプ氏の大統領当選に続けとばかりに、18年の大統領選への出馬を考え始めたことが明らかとなった。
 ジュストゥス氏はブラジル広告界の大物だが、同氏は、トランプ氏が出演していたことで知られるリアリティ・ショー「アプレンティス」のブラジル版「アプレンディス」にレギュラー出演し、トランプ氏がつとめたのと同じ、一般参加の企業への見習いたちに厳しい任務を与え、毎週ひとりずつを解雇していき、生き残った1人を自身の企業に採用する役をつとめていた。
 ジュストゥス氏の意向が明らかになったのは21日、ミシェル・テメル大統領が主催した「社会経済開発委員会」に参加し、帰り際に取材陣に囲まれたときだった。
 その際、取材陣から、大統領選出馬の可能性について質問を受けたジュストゥス氏は「これまでは政治の世界なんて遠いものだと思っていたが、もう、そんなことを思う必要はなくなった」と答えた。
 ジュストゥス氏はあくまで「まだ決めたわけではない」と前置きはしながらも、「だけど、政府との距離が近くなったことだけはたしかだ」と答えている。
 くしくも、ジュストゥス氏と共通点があるのはトランプ氏だけではない。「アプレンディス」で2年間だけジュストゥス氏の代理をつとめたサンパウロ市きっての企業家ジョアン・ドリア氏も、10月に行われたサンパウロ市長選で、政治家としての経験ゼロの新人候補ながら51%の圧倒的な支持率を得、前代未聞の一次投票のみで当選を果たしている。サンパウロ市の市長選は接戦が多く、決選投票が行われることが常だった。
 そうなると、気になるのは「どこの党から出馬するか」ということになるが、先述のドリア氏を送り込んだ、企業家に受けの良い民主社会党(PSDB)は既に数人の有力出馬候補がいる。同党は、02年の選挙から4期連続で大統領候補が次点に入り、決選投票に臨んできた。ミシェル・テメル大統領の民主運動党(PMDB)は候補が固まっていないが、議員数1位の政党だけあってライバルは少なくない。
 そうなると、企業家支持の多い社会民主党(PSD)、右派の進歩党(PP)といったあたりが有力な線といえるかもしれない。なお、ジュストゥス氏は、ジウマ前大統領が罷免されるまで13年間与党だった労働者党(PT)のアンチとしても知られている。
 なお、ブラジルには、一部で既に「ブラジルのトランプ」と崇められ、本人もそれを自負している人が存在する。それがジャイール・ボルソナロ下院議員だ。軍隊出身の同氏は、軍政礼賛、女性や同性愛者、黒人への差別発言といった極右路線が目立ち、その点でトランプ氏と共通すると見る人が多いが、「トランプは有能な企業家だが、ボルソナロ氏はただ下院に20年以上在籍しているだけに過ぎない」といった厳しい意見もある。
 ただ、ボルソナロ氏には、一ケタ台ではあるものの、それなりの大統領候補としての支持を得ており、本人も現在所属の小政党・キリスト教社会党(PSC)から規模の大きな政党への移籍を検討中だ。
 そうなれば、ジュストゥス氏とボルソナロ氏による「どちらが本当のブラジルのトランプか」との話題込みでの、各政党の獲得合戦も注目を集めることになるだろう。(21日付Veja誌サイトより)