【既報関連】11月29日未明に起きた、ブラジル南部のサッカーチーム、シェペコエンセの選手達を乗せた飛行機の墜落事故は、世界を震撼させた。テメル大統領は同日午前、3日間の服喪を発表したが、ブラジル政界では上院では憲法改正案の審議が行われ、政府の方針に反対する市民、活動家による、過激な抗議活動も発生した。また夜には下院で汚職防止法基本案の審議採決も行われた。
上院では、今後20年にわたって、公費歳出の調整率に上限を定める憲法改正案(PEC)241(以下、上限法)が審議され、賛成61対反対14で承認された。
財政状況改善のため、テメル大統領(民主運動党・PMDB)の最優先事項だった同案は、上議81人の3分の2、49票以上の賛成が必要だったが、それを上回った。
17年の教育部門と保健衛生(医療)部門への歳出上限設定方法は、他分野に比べ、若干の便宜が図られているが、それでも「教育と医療の切捨てにつながる」とする市民達による抗議活動が、全国で頻発している。
11月29日は、議会の外の官庁前広場にも、学生や労組中央機関、農地占拠運動、教師、先住民族などで構成された総勢1万人以上のデモ隊が繰り出し、上限法のみならず、選挙資金裏金恩赦問題や年金改革、中等教育改革への反対などを唱え、抗議行動を行った。
午後5時頃には、興奮したデモ隊が路上に停止していた車をひっくりかえす騒ぎとなり、警察が実力行使を開始。これにより、官庁前広場はガス弾が飛び、催涙スプレーの煙が立ち込めた。混乱に乗じたデモ隊は、広場両脇の教育省、都市省、防衛省、企画省などの庁舎で破壊行為を働いた。
テメル大統領は、デモ隊の暴力とマスコミの車が破壊された事を非難するビデオメッセージを発表した。
その後、下院では汚職防止法の骨格部分の審議と採決が行われ、日付も変わった11月30日未明に、賛成450、反対1、棄権3で承認された。同法の骨格部分には、選挙資金用の裏金工作(二重帳簿)を、罰金と禁錮2~5年の罪とする内容が含まれている。
しかし、同日未明に継続された修正動議の審議は、裁判官や検察官への処罰を厳格化する条項が加えられるなど、問題の多い内容になっている。裁判官や検察官への処罰厳格化は、「ラヴァ・ジャット作戦を沈静化させるための脅迫」と批判する政治評論家も多い。
タグ:サッカー 汚職 PMDB 写真ニュース ラヴァ・ジャット テメル大統領