最高裁第1班が11月29日、妊娠3カ月までに行われた妊娠中絶は罪ではないと判断し、リオ州で不法中絶を行っていたとして身柄を拘束されていた医師や職員の釈放を認めたと11月30日付現地紙が報じた。
今回の判断は、リオデジャネイロ州ドゥッケ・デ・カシアス市で不法な妊娠中絶を行っていたとして摘発された診療所の医師や職員が、期限を限定しない身柄拘束の対象とされた事を不服として起こした裁判に関するもので、全ての妊娠中絶についての判例ではない。
同件に関する最高裁の審理は無期限の身柄拘束の是非を問うもので、ルイス・フックス判事とマルコ・アルレリオ・メロ判事が釈放に賛成後、ルイス・ロベルト・バローゾ判事が再考を求めたため、中断していた。
バローゾ判事は11月30日、今回の事件では中絶手術を受けた女性達が罪に問われていない事にも触れ、3カ月未満の妊娠中絶は罪に定めるべきではないとの見解を表明した後、逮捕者釈放を認める票を投じた。
妊娠中絶に関する同判事の判断は、民主主義が発達した国では妊娠初期の中絶を罪と見なしていない事、妊娠に伴う女性の肉体的、精神的負担、性の平等性などを加味したもので、3カ月未満の妊娠中絶は女性の権利を守るものと説いた。エジソン・ファキン、ローザ・ウエーベルの両判事も、同判事の意見に賛同と表明後に逮捕者釈放を認める票を投じた。
今回の判断は、いわゆる判例ではないが、3カ月未満の場合の中絶は罪と見なさないという見解は、今後の裁判に影響を及ぼす可能性が強い。
現行法では強姦で妊娠した場合と母体に危険が及ぶ場合にのみ中絶を認めているが、最高裁は12年にも、胎児が無脳症と判断された場合の中絶を認める判断を下した。
なお、最高裁では今月7日、妊婦がジカ熱に感染したために胎児が小頭症と判断された場合の妊娠中絶についての全体審理(11人が参加)を行う事になっている。