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ベネズエラ=メルコスルの資格差し止め=他参加国からの要請に答えず=ブラジル政府の判断の背後には?

マドゥーロ大統領(Lula Marques/AGPT)

マドゥーロ大統領(Lula Marques/AGPT)

 南米共同市場(メルコスル)参加国は1日、「メルコスルの憲章を遵守しない」ことを理由にベネズエラの参加資格差し止めを行った。2日付伯字紙が報じている。
 ベネズエラは今年8月から持ち回りの議長国になるはずで、8月12日までにメルコスル参加資格の民主国家であるとの条項が守られていることを証明するよう求められていた。だが、ベネズエラが憲章遵守の姿勢を見せないため、パラグアイ、アルゼンチン、ブラジルが議長国就任に難色を示したことで、ベネズエラは自ら、7月に議長国就任を宣言した。
 これに対し、パラグアイ、アルゼンチン、ブラジルの3国は9月、同条項を守らない限り、同国の議長国就任を認めない決議を行い、ベネズエラを庇っていたウルグアイも決議参加を放棄することで、同調した。パラグアイ、アルゼンチン、ブラジルの3国は、ベネズエラを議長国にすることで欧州の経済圏に強い懸念が生まれることなどを不安視していた。
 このため、同国でのハイパー・インフレや政治犯への弾圧が疑われる行為などに関する説明など、12月1日を期限として、政情の安定した民主国家であることを証明することを求めていた。
 パラグアイは元々、ベネズエラの参加に反対だったが、2012年の議会クーデターで左翼政権が崩壊したことで資格停止になっていた際、当時は左翼政権だった残りの3国がベネズエラの加盟を認めてしまった。アルゼンチンやブラジルではその後に、左翼政権の崩壊が起きている。
 だが、9月以降も、ニコラス・マドゥーロ大統領の罷免を問う国民投票を求めるための国民からの署名をベ国の選挙委員会が無効化し、実施を先延ばしにしようとしたことなど、同国の悪印象を助長するようなことが続いていた。
 ベネズエラに対する具体的な制裁の内容は、14日に行われる他の4国の加盟国による会談で決まると思われるが、ベネズエラは今後、メルコスルでの商業交渉や会議などには呼ばれないと見られている。
 今回の決定に関し、ブラジル政府の中には当初、ベネズエラが参加資格を外されれば、同国内での政府と野党の対立の激化を招くことが考えられるため、判断を延期した方が良いのではという意見もあった。だが、ブラジルの企業家たちの間で、ベネズエラでのビジネス状況についての不満の声も相次いでいたため、強硬姿勢をとることを決めた模様だ。
 これに対しベ国政府側は、他の加盟国に対し、「ベネズエラにもっと敬意を払うように」と反論している。また、かねてからテメル政権を「クーデター政権」呼ばわりしていることで知られる同国のデルシー・ロドリゲス外相も、「帝国国家たちの非法的な行為には屈しない」と宣言した。
 同国のへスス・ファリア通商相も「求められた書類は92%提出した」として反論している。