「家族のために優勝を!」=使われなかった用具係のサプライズ演出=自腹で選手プレートを作成

11月末、コロンビアで発生した悲劇的な飛行機墜落事故の残骸の中から、シャペコエンセの選手が家族と一緒に写った写真の上に「彼らのために王者になれ」と書かれた、各選手用のプレートが発見された。各選手のロッカーに貼るために、チームの用具係が自腹で用意したものだ。
選手と共に亡くなった用具係の名はアンデルソン・ドニゼッチ。ニックネームの〃コカーダ〃で呼ばれることを好んだ。
シャペコエンセの用具係を長年勤めていた彼は、敵地での試合の時は自腹を切り、殺風景なビジターチーム用のロッカーをデコレーションして選手を鼓舞していた。
コパ・スダメリカーナ(南米杯)決勝という大舞台での彼の心憎い演出は、日の目を見る事がなかった。
コパ・スダメリカーナ杯でのシャペコエンセは、同じブラジルのクイアバー、アルゼンチンの強豪インデペンディエンテ、コロンビアのバランキージャ・ジュニオール、アルゼンチンのサン・ロレンソを降して決勝にたどり着いた。
コカーダはそのすべてのアウェイゲームで、選手の写真の上に「コパ・スダメリカーナ2016」の文字も入れたプレートを用意していた。3日に行われた、ホームスタジアムでの追悼式の最後に、遺族が掲げて場内を一周したのがこの写真だ。
コカーダは、決勝のためには特別なプレートを用意した。選手、監督、コーチ陣のために家族と共に映っている写真を使い、特別仕様のプレートを作らせたのだ。マーケティング部の助けも借りてのサプライズ企画は、搭乗直前に完成した。
写真の上部には、「果たして優勝できるだろうか?」というフレーズと共に、「彼ら(写真に写っている家族)のために王者になれ」と鼓舞する文が書かれていた。
コカーダは選手を奮い立たせるために、「あるものは伝説を、またあるものは歴史を振り返って語る。しかし我々は自分たちの手で伝説を作る」と書いたポスターも用意し、ロッカールームに貼るつもりだった。
チームのためには犠牲をいとわないコカーダの姿勢に心打たれた同僚は、サプライズでコカーダ用のパネルを用意したが、慎み深い彼はそれを自宅にしまい、遠征には持ち込んでいなかった。
3日の追悼式の際、ファンは「会長から用具係まで、シャペコエンセみんなにありがとう」と記したメッセージボードを掲げた。
コカーダこと、アンデルソンさんの演出は、陽の目を見る事はなかったが、多くの人の記憶に残る逸話となった。