ミシェル・テメル大統領(民主運動党・PMDB)は5日、年金改革法案を6日にも議会に提出することを発表したと6日付伯字各紙・サイトが報じている。
テメル大統領は、5日の夜、エンリケ・メイレレス財相、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)と共に、各連立与党と労組の代表者を集めて「年金改革法案」の説明を行った。現在審議中の「歳出上限法案」と並んで、現政権の最優先課題とされている案件だ。
同案は憲法改正法案「PEC287」と呼ばれる。骨子は、年金受給資格を得るための最低年齢を一律65歳からとすること、さらに、受給に必要な負担年数を最低25年とすることだ。
同法案は、既に年金を受給している人々には影響を及ぼさない。新年金制度は50歳未満の男性と、45歳未満の女性にのみ当てはまる。
50歳以上の男性と45歳以上の女性は、移行措置として、受給に必要な最低支払い年数は、現行法で算定した場合の1・5倍となる。
例えば現行法により、35年の年金負担で受給開始となるはずだった人が、すでに34年間負担していた場合、受給開始に必要な負担年数はあと1年ではなく、1・5倍の「1年半」となる。
20歳から就業し、年金負担を始めていた人が、65歳で受給資格を得ると、負担年数は45年で、受給に必要な最低負担年数の25年より、20年多く負担したことになる。この場合の受給金額は75に20を足して、負担期間の平均給与の95%となる。5年余計に負担して満額受給を目指しても良い。
「年金改革は全ての労働者に当てはまり、全員で負担増を分かち合う」ことが基本線。ところが法案からは当面、軍人、軍警、消防士は除かれている。
同案は憲法改正が必要となり、承認のためには上下両院で議員総数6割以上の賛成を、2回ずつ取らねばならず、困難が予想されている。
パウリーニョ・ダ・フォルサ下議(団結の党・SD)は、5日夜の政府の説明は詳細を欠いていると不満を漏らしたのに加え、「最低受給開始年齢を65歳からとすることは受け入れがたい」と語った。
年金改革法案の提出は統一地方選前の9月にも行われる予定だったが、各所からの反発を恐れ、先延ばしになっていた。与党内も一枚岩とは言いがたく、議会での議論は数カ月におよぶ事が予想される。
「最終的にこの法案に決着を付けるのは議会だ。議員たちは幅広い立場から議論をする」とテメル大統領は語った。