現在、サンパウロ市屈指の観光名所となっているサンパウロ映像美術館(MIS)で、ブラジル・テレビ界一の大物、シルヴィオ・サントスの展示会が開かれている。
MISはこれまでも、ロックスターのデヴィッド・ボウイや映画界の巨匠スタンリー・キューブリックなど、国際的にも人気が出た展示会をブラジルに招聘して開催し、ブラジル内での注目度を急速に上げてきた。
また、ブラジル国内の文化にテーマを絞ったものでも、伝説的な人気子供番組「ラ・チ・ブン」の展示会などで成功を収め、さらに評価を高めてきた。
そのMISが今回白羽の矢を立てたのが、テレビ界の大御所、シルヴィオ・サントスだ。シルヴィオと言えば、ブラジルでテレビ放送の歴史がはじまった1950年代以降、茶の間では知らない人がいないほどの名司会者としてならしている人物だ。
その成功ゆえに、1981年には自ら、新興テレビ局「SBT」の会長となって同局を運営。歴史の浅い局ながら、現在ではグローボ局につぐ2番目の高視聴率局に成長している。さらに86歳になった今でも、日曜の夜に自身のレギュラー番組を持ち、その衰えぬ美声と、白い歯が特徴的な笑顔をトレードマークとして活躍している。
そんなシルヴィオは同時に、「最も成功したブラジル人実業家」の一人として長年名を馳せ、今日でも国内の富豪ランキングでは5本の指に入る存在だ。
MISのアンドレ・ストゥルム館長は、今回シルヴィオをテーマに選んだ理由を、「ブラジルのテレビの歴史をそのまま象徴する人物だからだ」と説明する。同館長はブラジル職業テレビ協会会長のエルモ・フランフォルト氏と組み、各テレビ局に残るシルヴィオの映像やそれに関する資料を洗いざらい調査した。時にはシルヴィオ本人に直接取材して調査を進めたこともあったという。
こうして集められた今回の展示は、いわば「究極のシルヴィオ・サントス展」の趣を呈しているが、エルモ氏に言わせると「なつかしの番組を再現できる仕掛けも用意している」とのことだ。
シルヴィオ・サントス展は来年3月12日まで開催され、入場料は会場直接購入で12レアル、インターネット先行購入で30レアル。火曜日は入館料無料だ。(7日付CBNサイトより)