連邦最高裁で7日、レナン・カリェイロス上院議長(民主運動党・PMDB)の停職処分を巡る判事投票が行われ、6対3でマルコ・アウレーリオ・メロ判事の暫定令が覆り、レナン議長が同職に留まることになった。だが、この判決は最高裁と連邦政府の談合で政治的判断が加わったものとの見方が広がり、司法の信用問題に波紋を投げかけそうだ。8日付現地紙が報じている。
7日の投票では、5日に停職処分の暫定令を出したアウレーリオ判事が報告官を務め、改めてレナン氏の停職を薦めた。だが、その直後、最高裁最長老ゆえに、通常なら長官以外の判事の最後に投票するはずのセウソ・デ・メロ判事が発言を求め、「(レナン氏が裁判の被告になっているが故に)有事の大統領代行の継承権は与えないが、議長職継続は認める」と、アウレーリオ判事とは異なる意見を出した。
この見解は、テオリ・ザヴァスキ、ルイス・フクス、ジアス・トフォリ、リカルド・レヴァンドウスキーの各判事と、カルメン・ルシア長官が支持した。アウレーリオ判事に賛成したのはエジソン・ファキン、ローザ・ウェーベルの2判事のみだった。ルイス・アルベルト・バローゾ判事は、自分が所属していた弁護士事務所が関与している案件のため、審理参加を辞退、ジウマール・メンデス判事は国外出張で不在だった。
判事投票が過半数を超えたため、レナン氏は上院議長に留まることが決定した。レナン氏はこの結果に対し、「愛国的な判断を謹んで受け取る」と表明。「司法府を改めて信頼している。行政・立法・司法の三権が揺れ動く状態はもう起こらない」と言い切った。
だが、最高裁の判断に対し、マスコミや国民は「司法が行政と談合し、威厳を損なった」と強い不満を示している。それは、セウソ・デ・メロ判事の判断が、6日までに連邦政府と最高裁が話し合ってまとめたと報じられていたものと全く同じだったからだ。
連邦政府は、13日に上院で予定されている、財政支出に上限を設ける憲法改正案(PEC)の投票実施のため、テメル大統領と同じPMDBのレナン氏が議長職に留まることを切望していた。同改正案は財政調整策の柱の一つで、政府側は是が非でも承認を得る必要がある。レナン氏停職となれば議長を代行する副議長のジョルジュ・ヴィアーナ上議(労働者党・PT)には既に、PTから、同法案の審議延期の圧力がかかっていた。
また、レナン氏の任期は来年1月末までで、12月後半からの休みを入れたら実質的な任期は2週間ないことや、当面は大統領職代行の可能性がないことも留任が容認された背景にはあった。
ただ、上院憲政委員会が、最高裁や検察の力を抑制しかねない「職権乱用防止法」を含む「汚職防止法」を来週にでも成立させたがっているなど、最高裁には厳しい状況が続いている。