ホーム | ビジネスニュース | 《ブラジル》 インフレ率=11月としては18年振りの低数値=17年末は政府目標4・5%±2%達成か?=来年も国際情勢の見極め肝要

《ブラジル》 インフレ率=11月としては18年振りの低数値=17年末は政府目標4・5%±2%達成か?=来年も国際情勢の見極め肝要

高インフレ収束の兆しが見え始めた(参考画像・Wilson Dias/arquivo ABr)

高インフレ収束の兆しが見え始めた(参考画像・Wilson Dias/arquivo ABr)

 ブラジル地理統計院(IBGE)は9日、11月の広範囲消費者物価指数(IPCA)は0・18%で、10月の0・26%より0・08%ポイント下がったと発表したと同日付現地サイトが報じた。
 これは11月のものとしては、1998年11月のマイナス0・12%以来の低い数値だ。昨年は、1・01%だった。
 牛乳、トマト、ジャガイモなどの食料品価格は0・20%低下し、低インフレの主要要因となった。
 今年1月から11月までの累積IPCAは5・97%で、昨年同期の9・62%より大幅に下がった。
 過去12カ月間(15年12月から16年11月まで)のIPCAは6・99%で、14年12月から15年11月までの12カ月間の7・87%より下降した。
 中銀が今月2日に発表した市場報告書「Focus」によると、市場関係者は今年1月から12月までのIPCAを6・69%と見ている。これは、15年の10・67%から大きく改善されたが、政府目標の「4・5%から上下2%ポイント以内」には、まだ収まらない。
 高インフレ率は中銀にとって数年来、頭痛の種だった。中銀は経済基本金利(Selic)をコントロールすることで、物価調整を図ってきた。
 Focusが予想する2017年末時点のIPCAは4・93%で、これだとインフレ抑制目標値の範囲内に収まる。
 しかし、来年1月には米国でトランプ政権が発足する。同氏の米国内公共事業活性化公約はそのまま、米国内の物価上昇に結びつく。その抑制のために同国内の金利が上昇すれば、それが引き金となってドル高が起こり、ブラジルに物価高を及ぼす可能性もある。
 さらに、11月末にOPECが減産合意を発表して以来、原油の国際価格が上昇し、ブラジル国内でも燃料値上げが発生している。
 インフレを抑えつつ、景気回復を目指す政府には、2017年も国内外の動向を見極めた、金融政策が求められる。