皆さん、いかがお過ごしですか? 日本は、師走の気忙しい空気感に包まれています。忘年会のシーズン到来で、暴飲暴食で疲れた顔で通勤しているサラリーマンやOLを大勢見かけます。
今話では、膝と腰を痛めない体のねじれ方についてご紹介します。
膝と腰の痛みと機能障害は、誰にでも起こりうる問題ですが、ある事に注意を払っていれば予防・改善できます。
【半月板と椎間板の役割とリスク】
「半月板」と「椎間板」。体の構造に興味がない人でも、1度は耳にしたことがあるはずです。半月板は、すねの骨と太ももの骨の間にあって、地面からの突き上げの衝撃と体の重さを支えるクッションの役割を担っています。
半月板には、とても大きな圧縮力と滑る力が加わるため、半月板に変形や傷があると、膝が引っかかったり、激しい痛みが生じたりして、日常生活に大きな支障をきたすことになります。
椎間板も背骨のクッション役を担っていて、半月板に似た構造と機能をもっています。加齢と共に変形が進み、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)、脊椎分離症(せきついぶんりしょう)といった疾患の原因になります。
【半月板と椎間板を守るには】
身体全体を包括的に診るのではなく、痛みがある局所だけを限定的に診てしまうのが、西洋医療の問題点でもありますが、膝痛と腰痛の診療に関しては、特にこの傾向が強いと言えます。
骨や関節、椎間板や半月板が、変形したり壊れたりするのは、日頃の使い方に問題がある(機能的な問題)からであるためで、体の使い方を正さなければ、何度でも同じ問題が起きるでしょう。たとえ、手術した数年後に再発してしまうケースが、まさにそれです。
取り替えのきかない半月板と椎間板は、過剰な圧迫とねじれに弱い構造をしています。日頃から、この部分に過剰な捻れのストレスがかからないようにすることが重要です。
【ピポッド】
1日の中で私たちは気づかないうちに、何百回と体を捻っています。その捻じれが膝や腰から生じているとしたら、半月板と椎間板を傷めてしまうことになります。正しい捻じれの動作は、股関節を軸にした骨盤の回旋によるものでなければいけません。
イラストは、「ピポッド」と呼ばれる動作です。足裏の先と股関節で回旋する動作の様子を表しています。足の裏でたばこの吸い殻を踏み消すような感じです。
こうすることで、膝と腰を捻らずに、安全で楽に体を捻ることができます。鏡の前に立ち、左右20回ずつピポッドの練習をします。
身体の捻じれは足の裏から。これを念頭において生活の中で実践して下さいね。
【プロフィール】
伊藤和磨(いとうかずま)1976年7月11日生まれ 東京都出身
メ ディカルトレーナー。米国C.H.E.K institute 公認practitioner。2002年に「腰痛改善スタジオMaro’s」を開業。『腰痛はアタマで治す』(集英社)、『アゴを引けば体が変わる』 (光文社)など14冊を出版している。「生涯、腰痛にならない姿勢と体の使い方」を企業や学校などで講演している。