アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は14日、2015年12月以来となる利上げ実施を決め、政策金利を0・25~0・5%水準から、0・5~0・75%水準に引き上げたと15日付けブラジル各紙が報じた。
今回の利上げは、米国の景気回復と失業率の低下、インフレへの警戒感などを反映したものだ。利上げは大方の予想通りだったが、上げ幅は慎重なものになった。これは、1月に発足するトランプ新政権の経済政策など、今後の行方を見定めるため、大きく金利を動かす事は得策ではないとFRBが判断したものと思われている。
米国の利上げは、ブラジルやその他の新興国でも注意深く見守られた。米国の利上げは、新興国に流れ込んでいた〃投資マネー〃が米国に流れ、通貨下落と主力輸出商品であるコモディティ商品の価格下落を意味するからだ。
利上げ決定の発表は14日のレアル/ドル相場が取引を終了した後だったので、直接の影響はなかったが、それでも、同日の商業ドルは1ドル=3・334レアルで前日比0・21%高となり、3日営業日連続のレアル高は止まった。
サンパウロ市証券市場の平均株価指数(Ibovespa)も、前日比1・8%マイナスで、5万9千ポイントを割り込み、5万8212・11ポイントで引けた。
また、主要欧州諸国でも株価は下がった、ロンドン市場はマイナス0・28%、パリ市場はマイナス0・72%、フランクフルト市場はマイナス0・35%だった。
米国利上げに伴うドル高は、ブラジルにとっては確実にインフレ要因の一つで、「ブラジルの景気回復のために利下げが望まれているブラジル中銀が、利下げを躊躇する材料となりうる」とGOアソシエイツ社のルイス・カステッリ氏は語る。
経済専門家らは「FRBは米国の好況は今後も続くと見ており、来年は利上げ、ドル高が続く」とし、今後数カ月のドル高基調を予想している。