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ブラジル=テメル政権=景気刺激の政策集を発表=市場は一応肯定的な評価

重要閣僚に、両院議長まで従えて会見するテメル大統領(中央)(Beto Barata/PR)

重要閣僚に、両院議長まで従えて会見するテメル大統領(中央)(Beto Barata/PR)

 ミシェル・テメル大統領(民主運動党・PMDB)は15日、エンリケ・メイレレス財相、エリゼウ・パジーリャ官房長官、ジオゴ・オリベイラ企画相、レナン・カリェイロス上院議長、ロドリゴ・マイア下院議長らを従えて記者会見を行い、景気刺激を目的とした政策集を発表した。16日現地紙が報じている。

 テメル大統領は「この政策集は、ブラジルの生産性を高め、失業問題と戦うためのものだ。この不況を乗り切れば経済は成長し、雇用も回復する」と語った。
 諸政策の中で各紙が強調したのは、企業負担による退職金積み立て制度である勤続期間保障基金(FGTS)の資金運営による収益を、最大半分まで労働者に還元する用にする点だ。これによって、現行は「年利3%+参考金利(TR)」のみの還元益は、貯蓄預金(ポウパンサ)の金利に近い「5~6%+TR」に引き上げられる。

 また、社会経済開発銀行(BNDES)に負債のある零細・中小企業は、2千万レアルまでの負債なら、現行より低い長期金利(TJLP)を適用した長期の返済計画への変更による負担軽減が認められる。この措置を受けられる企業の年商は、9千万レアル以内から3億レアル以内に変更され、貸付上限も54億レアルに引き上げられる。
 その他の政策は、経済基本金利と銀行の貸付金利の差縮小、商店がクレジットカードでの売上金を受け取るまでの期間短縮、クレジットカードの金利低下、支払い方法により価格に差を付けることを認める、官庁統合によるビジネス諸手続きの簡略化、不動産取引を容易にする全国規模の管理システムの作成、輸出入の官僚機構の簡素化などだ。
 しかし、これらの政策の一部は具体性を欠いており、さらに議会承認の壁もあることから、即効性を疑う声も出ている。
 多くのブラジル企業が「今・ここ」にある危機に直面している中、市場に好影響をもたらすのは、「政策が行われるという期待感」ではなく、政策が本当に行われることだ。
 会見に同席したメイレレス財相は、「どれほどの経済効果を期待しているか」と聞かれ、「今後数年間で国内総生産(GDP)を1%ポイント上昇させることができる」と語るにとどめた。